本拠地最初のゲームで最高の船出を飾った。楽天が日本ハムに快勝し、開幕戦黒星の後から3連勝を飾った。補強の目玉、浅村栄斗内野手が1点リードの8回に移籍後初アーチとなる2点本塁打で勝負を決定づけるなど、理想的な展開。気温2度、雪による22分間の中断もあった一戦は熱く盛り上がった。

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7回3安打無失点で今季初勝利の辛島航投手と浅村は、試合後のお立ち台へ向かう途中、満面の笑みを浮かべる三木谷浩史オーナーと握手を交わした。東北楽天ゴールデンイーグルスのトップは「本拠地開幕戦で、浅村選手が値千金の1打を打ってくれたんでうれしいです。勝利もそうですが、内容がいい。勝負どころで1本が出るから。GM以下、強化部もうまくやってくれている。(球団創設)15年目にして層の厚みが出てきている」と賛辞を惜しまなかった。

理想的な展開だった。先制した4回は先頭の茂木が左中間を破る二塁打。浅村は「いい形で後ろにつなぎたい」と自己犠牲の精神で右打ちに徹して走者を三塁に進め、日本ハム内野陣に前進守備を敷かせた。そして「つなぎの4番」島内が、遊撃後方にしぶとく落とす適時打。4番として初打点を挙げた。

先発辛島はタフな条件下でも抜群の安定感を披露。ハーマンが3者凡退でつなぎ、守護神松井も苦しみながら今季初セーブと形が見えた。昨季69試合を戦い、20勝49敗と大きく負け越した本拠地で、寒い中でも最後まで応援してくれたファンの熱に勝利で応えた。

三木谷オーナーは勝ってかぶとの緒を締めた。「シーズンは長い。一昨年みたいにダントツだったのに、ああなることもある。油断禁物ですよ」。平石監督をはじめ、悔しさにまみれてきたチームは、それを分かっている。【亀山泰宏】