<巨人6-3阪神>◇3日◇東京ドーム

4年ぶりに巨人の監督に復帰した原辰徳監督が、13年目のシーズンを迎える。リーグ優勝は7回。日本一は3回。実績を見れば文句なしの「名監督」だが、どういう野球をする監督なの? と聞かれると、ひと言では語れない難しさがある。

もっとも当の本人が「原はこういう野球をやるって思われるのは嫌なんだ」と言っているのだから、他人が簡単に説明できる訳がない。

試合前にオーダーをどうするのか、話してくれた。「今日はアンダースロー(青柳)。陽は苦手そうだから亀井でいく。ゲレーロも打てなさそう? でも今のゲレーロを外せないよ。キャッチャーには左の大城を使ってみる」。5番から7番に起用した3人の結果は、10打数無安打4三振。大失敗に終わったが、3人の前を打つ4番の岡本は今季1号とダメ押しの2点二塁適時打を含む4打数2安打3打点。原監督が打つと思って起用した3人が阪神バッテリーに圧力を与え、不調だった岡本に力を与えたように思えた。

ノビノビと打たせるかと思えば、勝負どころではクリーンアップにも送りバントをさせる。選手に対しても優しいようで厳しく、厳しいようで優しい。昨年まで「わがまま」な印象があったゲレーロなど、鼻っ柱が強い“やんちゃな選手”の扱い方は一級品。開幕戦でスタメンを外れたゲレーロが必死なプレーを続けているが、原監督の選手起用の巧みさを象徴している。

とにかくスケールがでかい。「生まれ変わるとしたら何になりたいか?」というくだらない質問の答えは「松」だった。

身動きできない植物を挙げた理由を聞くと「動けなくてもいいじゃないか。周りが動いてくれるのをゆったりと見てればいいんだから」と不敵に笑って答えた。常人では理解不能の感性を持っている。相手からすれば、何を考え、何を繰り出してくるか全く読めない恐怖がある。開幕からたった5試合が終わっただけ。それでも原監督が率いる今年の巨人は強そうだ。【小島信行】