広島の4番鈴木誠也外野手が、1週間ぶりの勝利を執念でもぎ取った。3-1の4回無死満塁。カウント1-1からの外角低め直球を右狙いで一塁線に転がし、3点二塁打とした。

自己ワーストを更新していた連続打席無安打は22でストップ。勝利を引き寄せ「チームが勝てたのが一番。バッティングはたまたまです」と話した。

5連敗中のチームを勝たせることしか頭になかった。第1打席は3球三振。3回無死二塁の第2打席は、なりふり構わずスタンスを広げ、ノーステップ打法に切り替えた。しっかり左足を踏みだしバットを強く振り切るのが持ち味だが、自らのスタイルを曲げてまで結果を求めた。緒方監督は「何とかしようという気持ちだけだったと思う」と話す。結局四球を選んだ後、二盗にも成功し、勝ち越し点を呼び込んだ。

8回のチャンスで空振り三振に倒れると、ベンチの壁を思い切り蹴りつけた。調子が悪くても何とかしようとあがき、打てなければ本気で悔しがる。打点を15とし、本塁打(5)とあわせて2冠に返り咲いたが、個人記録に興味はない。4番の役割を正面から受け止める鈴木が、巻き返しのキーマンになる。【村野森】