元号をつなぐ大エースが平成最後の3連戦となる「伝統の一戦」の初戦をとった。巨人菅野智之投手(29)が6回2/3を3失点でリーグトップタイの3勝目。序盤から危なげない投球内容で虎打線を沈黙させながらも、6点リードの7回に3ランを浴びた。17年8月19日DeNA戦以来、608日ぶりにイニング途中での悔しい降板。平成元年生まれの菅野、平成最後の甲子園マウンドは新時代「令和」への続きを含ませた。

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唇をかみ、菅野はゆっくりとマウンドから降りた。6点リードの7回2死一、三塁、阪神木浪に3ラン。新人からは初被弾で6回2/3を3失点、118球で戸根にバトンを渡し、自身608日ぶりにイニング途中で降板した。「それは、そうですね」。報道陣の「投げきりたかったか」の問いに即答した。

マウンドで「なぜ」を追求し、阪神打線を封じた。1回終了後、投球時に感じた阪神打線の反応を自己分析した。「もう少し変化球マークかなと思ったんですけど、真っすぐ対応できていた」。2回以降は要所で変化球を有効に利用。7奪三振中、5個を変化球で奪った。「全球種、だいたいコントロールできた」。洞察力を投球術の高さで再現し、リーグトップタイの3勝目をたぐり寄せた。

「全てが野球に通じる」の信念を持ち、私生活でも「なぜ」を追求する。1月のハワイ自主トレ中、後輩の中川、宮国、桜井とすしを食べに出掛けた。食事中、椎茸(しいたけ)の握りを注文。隣に座る桜井と椎茸の名前の由来に話題が及んだ。答えがわからず、「それで終われば、あいまいなまま。『なぜ』と思ったら、答えを見つけないと」と宿題にした。

翌日、スマホで検索した桜井から、2つの答えを聞いた。1つ目は「椎の木に育つ茸」。2つ目は季節に関係なく、1年間収穫できることから「四季茸」と呼ばれ、それが変化して「しいたけ」になったというものだった。「こういう姿勢が、大事なんだよ」。菅野の言葉を聞いた後輩3人は体現し、今、1軍のブルペンで待機する。

平成最後の「伝統の一戦」3連戦の初戦を白星で飾った。力感のないフォーム、高めでの勝負。今年も自らに課した課題をクリアする。「もうちょいですね。でも、やりたいことはできています」。次回は中5日で25日のヤクルト戦(神宮)。平成最後の登板を白星で締め、新たな元号「令和」に向け、エースはもっと進化する。【久保賢吾】