主将の久々の1発は、空砲に終わった。日本ハムは打線が6安打で1点しか奪えず、連勝を逃した。中田翔内野手(29)は「試合に勝てているのであれば、気持ちよく話せるけど…」と表情をゆがめた。5回先頭で17試合74打席ぶりのアーチを描いたが、笑顔はない。今季新設された右翼側「ホームランラグーン」へ運んだ3号ソロが、チーム唯一の得点。「自分のことは、どうでもいい。最後もダブルプレーとか最悪」。2点を追う9回無死一塁で投ゴロ併殺打に終わった自分を責めた。

打線が苦しみ続けている。開幕から19試合で2ケタ安打は2試合のみ、総得点59は両リーグワースト。この日も中田のソロで1点差に迫った直後の1死一、三塁の好機で鶴岡が併殺打など、中盤は得点圏に走者を進めながら、あと1本が出なかった。17日オリックス戦から4番を任される近藤も、4回と6回の好機で凡退。9回は先頭で安打を放って出塁したが「チャンスで打てていないので…」と、同学年のエース上沢を援護できなかったことを悔いた。

今季、中田が打点を挙げた試合で負けるのは初めてだった。ここまでは5勝1分けと負けなしの“不敗神話”が途切れても、主役が打たなければ勝利は遠いことに変わりはない。栗山監督は打線について「いろんな理由があるけど(要因は)誰かってことじゃない。こっちが、しっかりやります」と打開策を思案しながら、我慢を続ける。それでも、まだ借金1。今のうちに早く攻撃の流れをつかみたい。【木下大輔】

▼日本ハムの攻撃力がなかなか上向いてこない。今季19試合で打線が2桁安打を放ったのは2試合だけで、1試合平均3・1得点はリーグワースト。盗塁6もリーグワーストで本塁打は12球団ワーストの9本と、機動力を使えず、起死回生の一発も出ない状態が続いている。