今季1軍初昇格の楽天今江年晶内野手が「7番三塁」でスタメン出場し、不調のチームに刺激をもたらした。「チームのスパイスになりたい」と臨んだ復帰戦で、2度の勝ち越し打を含む3安打2打点。ベテランが存在感を見せつけた。

試合前練習の円陣で「最近、調子悪いけど、今まで通り楽しくやりましょう」と笑顔であいさつし、チームに明るい雰囲気をもたらした。試合に入れば同点の6回に「体が反応しました。いいところに飛んでくれた」と多和田から左前適時打。再び同点とされた7回2死一、三塁には平井の低めスライダーをしぶとく中前に適時打を放った。

キャンプ直前、物がゆがんで見えるという「右眼球中心性漿液(しょうえき)性脈絡網膜症」と診断された。2軍調整が続き、しっかりと見えるようになったのも「この2週間くらい」という。それでも先発起用に応えたベテランに、平石監督も「チームが苦しい中、勇気を与える見事な働きを見せてくれた」と満足げな表情だった。

喜びは最後に悔しさに変わった。11回、先頭の西武中村の打球をはじいて出塁を許した。結果的に、この走者が試合を決めた。「1つのミスからそうなるんでね…」と悔やんだ。チームは2戦連続サヨナラ負けで貯金を使い果たし、日本ハム、西武と並ぶ2位タイとなった。今江がスパイスとなり、再浮上を目指す。【鈴木正章】