楽天のドラフト1位ルーキー辰己涼介外野手(22)が、三木谷浩史オーナーが見守る「御前試合」でプロ1号を放った。

初めて「2番中堅」でスタメン出場。1点を追う3回の第2打席で、1ボールからひざ元にきた西武本田の129キロスライダーを完璧に捉えた。

「打った瞬間(フェンスを)越えるかなという感じで走ってました。やっと自分らしい打撃ができた。しっかり良い形でミスショットなく打てました」。辰己の同点弾が呼び水となり、チームは10安打8得点で圧勝。連敗を4で止め、再び勝率を5割に戻した。三木谷オーナーも「(辰己は)振りが速い。大きく育ってほしい。走攻守そろっている選手で期待の星です」とご満悦で球場を後にした。

開幕こそ1軍で迎えたが、打率2割8厘で4月22日に登録抹消された。「フォームがバラバラ。頭がゴチャゴチャになって、自分の打撃を見失っていました」。だが2軍でバットを振り込み、自分のタイミング、打つポイントを取り戻した。小谷野打撃コーチは「辰己は探究心、向上心がすごい。開幕時は全部を吸収しようとして彼らしさが消えていた部分がある。彼の1番いいところは自分のスイングができること。コンタクトすれば今日みたいにどの方向にも本塁打が打てるんです」とたたえた。

ホームランボールは10日からの神戸遠征で両親に渡すという。「(今月3日に)1軍に戻ってきてからチームが勝ててなかったんで。僕が上がってきたから勝ててないんちゃうんか? と言われないように頑張りたい」。いよいよゴールデンルーキーが本領発揮だ。【千葉修宏】