ルートインBCリーグの新潟は24日の福島戦(福島・牡丹台野球場)からビジターで3連戦を行う。東地区優勝マジック8と15年前期以来の地区優勝が近づく中、前川哲投手(23)がNPBの注目を浴びている。今季、自己最速の153キロをマークした右腕は、チームを前進させながら、今秋のドラフト戦線に名乗りを上げた。

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準備に抜かりはない。22日のチーム練習、前川は今季からの新フォームをチェックして締めくくった。「体重がしっかり乗るように」。左足を上げてからためをつくって踏み出し、軽めに20球。24日からのビジター3連戦では25日の茨城戦(茨城・坂東市岩井球場)で先発予定。次戦を見据え、丁寧に調整した。

フォーム固めを始めて「球速が上がった」と言う。今季はここまで4勝1敗。15日の富山戦では自己最速の153キロをマーク。6回を7安打2失点で10三振を奪った。ロッテ、ソフトバンクらのスカウトが見守る中での好投だった。チームメートの最速153キロ右腕・長谷川凌汰投手(23)と並んで、今秋のドラフト指名候補に浮上した。入団5年目の今季、「今年こそ」の思いは強い。「以前はスカウトを意識して投げていた面があったが、今は誰が見ていようがいまいが、全力で投げる」と試合に集中できている。

昨季までは四球を怖がり、ストライクを取りに行ったところを痛打された。今季は「フルカウントになったら、いちばんいい球を投げると決めている」。オフに中日松坂大輔のインタビュー記事を読んだ。「松坂さんは『満塁では押し出しでもいい。四球を怖がって長打を許したら大量点になる』と。それを知って気が楽になった」。気持ちに余裕ができると、オフの体づくりが生きた。筋トレ後に1時間の有酸素運動を取り入れてきた。体脂肪は昨季の23%から17%に。体の切れも、球速アップの土台にある。

清水章夫監督(43)は「『打てるものなら打ってみろよ』と、もっと思ってほしい」と注文する。それも「プロの1軍で投げてもそれなりに対応できる」と評価するからこそ。「自分が思い通りの投球をすれば絶対に勝てる。負けるのは自分がだめなとき」と前川。自信をマウンドで形にすることがプロへのアピールにもなる。【斎藤慎一郎】

◆前川哲(まえかわ・さとし)1996年(平8)5月15日生まれ、柏崎市出身。大洲小2年で野球を始める。柏崎第二中では当時直江津中のDeNA飯塚悟史と投げ合う。新潟産大付では3年の春季県大会ベスト4。15年にBC新潟に入団。好きなプロ野球選手は日本ハム金子千尋。180センチ、90キロ。右投げ右打ち。