日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が、メモリアルアーチをかけた。30日のロッテ11回戦(札幌ドーム)で5点リードの4回1死一、二塁でバックスクリーンへ今季1号3ラン。右手有鉤(ゆうこう)骨骨折から復帰し、6試合24打席目での1発で、球団通算8000号の節目を飾った。チームは4連勝で、貯金を1とした。

真骨頂を発揮した。5点リードの4回1死一、二塁。清宮が待望のアーチを描いた。内角低めを突く141キロ直球を、しなやかなスイングではじいた。弾道は高々と弧を描き、バックスクリーンに到達。今季1号に「一番は、ホッとしました。やっと出てくれたな、と」。ダイヤモンドを駆け抜け、はじけるような笑顔で先輩に迎え入れられた。

球団通算8000号のメモリアルアーチになった。お立ち台では「前(の回)に中田さんが1本打ってくれたおかげなので…」と小さく頭を下げた。「今までも、たくさんの先輩方が打ってきた中で記念すべき1発。恐縮です」。将来、チームを背負っていく主砲にふさわしい節目を飾った。

テーピングの長さが、本塁打へのカウントダウンになった。今年1月。かねて痛みを抱えていた右手首の衝撃を減らすため、バットのグリップにテープを巻き始めた。「本当は付けたくない」と抵抗があったのは、テーピングでバットを短く握ることを強いられたから。開幕を迎えるための、苦渋の決断だった。

手術に踏み切った後も、テープを3周ほど巻いて打撃再開。グリップを覆うほどのテーピングは自らの判断で減らしていき、今ではグリップの下に少し残す程度。本来の感触を取り戻し、持ち味の本塁打につなげた。9回には今季初めて一塁守備に就き、攻守で前進を示した。

チームを4連勝に導き、あらためて本塁打への思いをこぼした。「何がうれしいかって、歓声だったり僕以外の人が喜ぶこと。本塁打を追い求めるのも大事かな。やっぱり、気持ちいいから」。純真な思いで、次なる本塁打も生んでいく。【田中彩友美】

▼球団通算8000号=日本ハム 30日のロッテ11回戦(札幌ドーム)の4回、清宮が今季1号を放って達成した。球団初本塁打は46年6月2日の中部日本戦(西宮)で大下弘が記録している。8000号到達はプロ野球7球団目。

▼日本ハム栗山監督(清宮について)「遠くへ飛ばす人たちは、ホームランを打つと安心感が出る。でも、最初の打席の打ち取られ方とかは、まだまだ。オレは、すごくいろんなことが気になりながら見ている。今日のホームランが良かったねというバッターじゃない」