きらやか銀行(山形市)は8-3で日本製紙石巻(石巻市)を下し、2年ぶり3度目の東京ドーム切符を勝ち取った。5番DH建部翔太(28=八戸大)が先制打と今大会3本目の本塁打で打線に火をつけ、中1日登板の小島康明投手(26=東京農大)も8安打3失点(自責2点)完投でエースの責務を果たした。

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きらやか銀行が、敗者復活戦を勝ち上がってきた日本製紙石巻との再戦を準決勝に続いて制した。5点リードの9回表、相手打線を3者凡退に仕留めたエース小島は両手を大きく広げて絶叫。マウンド上で仲間たちと喜びを爆発させた。

4日の決勝(第1代表決定戦)で優勝を逃したダメージは感じさせなかった。気持ちを切り替え、「ここで決めよう」と全員で誓い合った。先発全員の計15安打。エースを主砲が援護した。建部は初回裏1死二、三塁、左前に先制打を放ち、続く2回裏1死一、二塁では追いすがる相手を突き放す左越え3ランを放ち、本大会首位打者の貫禄を示した。第1代表決定戦終了時点で打率6割(計3戦)をマーク。最高打率賞を受賞したが、優勝を逃し、素直に喜べなかった。この日、敢闘賞も獲得した建部は「(受賞は)小島だと思っていたのでびっくり。初回に先制して小島を楽にするつもりだった。しっかりと芯に当てることだけを意識した」と振り返った。

今季から指揮する村上真監督(39)の起用に応えた。大会前までスランプだったが、「お前は4番の役目を果たせ。三振しても堂々と帰ってこい」と使い続けてくれた。建部は「安心感も生まれて力になった」と感謝した。ウイニングボールを手渡され、胴上げで宙を舞った村上監督は「優勝したわけではないので」と戸惑いながらも「(全国出場を)決められてよかった。ほっとしました」と安堵(あんど)の表情だった。

だが、今季のチームの最終目標は全国8強以上だ。小島は「個人的にはプロを諦めていないので東京ドームでアピールしたい」と意欲。まだドームで結果を残していない建部は「チームが勝てるように1点でも多く貢献したい」と力を込めた。【佐々木雄高】