輝星に負けず、俺だって東北の星になる。高卒3年目右腕、ロッテ種市篤暉投手(20)がDeNA3回戦(ZOZOマリン)に先発し、7回5安打1失点でチームトップタイの4勝目。4番筒香からは3三振を奪った。青森出身の若武者は、今季プロ初勝利を挙げたばかり。150キロを超える直球と鋭く落ちるフォークを武器に一気に台頭し、チームの連敗を3で止めた。

2点リードの6回2死満塁、迎えるは前打席でソロを被弾したDeNAソト。一打同点のピンチで、ロッテ種市が選んだ勝負球は代名詞のフォークではなかった。「相手も真っすぐとフォークが頭にある。頭にない球で。全力で三振を狙いにいきました」。直前で投げた外角直球を生かし、外に逃げるスライダーで空を切らせた。

課題を克服した。ここまでの先発5試合中4試合で3回までに複数失点していたが、4回まで2安打無失点。回を追うごとに内外への制球もさえた。侍ジャパンの4番を張る筒香は直球、フォーク、直球で3打席連続空振り三振に。「たまたまだったけど、自信になりました」と笑った。

チームの連敗を止めた。「やられっぱなしじゃいけない」と送り出した井口監督は成長に目を細める。前夜に先発した岩下とともに種市に「これからエースになっていく存在。1試合投げきれるピッチャーになってほしい」と期待。親心には力で応えた。

6回を終えて106球。いつもなら交代する球数だ。吉井投手コーチに続投を告げられ「ここで抑えられなかったら、次も100球ちょっとで代えられる」。残ったスタミナで文字通り全力投球の7回は150キロを連発。「今日で、投げられるんだって思ってもらえる」。信頼を勝ち取った。

12日には、同じ北東北から高卒でプロ入りした日本ハムのルーキー、吉田輝星がプロ初登板初勝利を挙げた。「真っすぐがすごかった。やっぱり“持ってる”な。僕も頑張ります」。26歳柿沼との“柿の種バッテリー”で、DeNA打線を見事に最少失点に封じ込めた。上京して3年目。1年前はまだ、青森なまりのイントネーションが抜けなかった青年も20歳。近未来のエース候補は、見た目もトークも投球も、着実にたくましくなっている。【鎌田良美】