ボコボコの殴り合いだった。DeNAが楽天に9-11で敗れた。先発の大貫晋一投手(25)が初回に1死も取れず、6失点でKO。

試合の大勢が決まったと思われたが、直後の1回裏の攻撃で打者12人の猛攻で7得点して一時逆転を果たした。1回だけで両軍合わせて異例の1時間7分の攻防戦。始球式を行ったボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)のように、真っ向から打ち合った。最後は逆転負けを喫したが、球団創設70周年の記念試合日に底力を示した。

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ノーガードの殴り合いで、最後は競り負けた。ラミレス監督は「あきらめず、しっかりファイトができた」と振り返った。

試合開始のゴング、いやプレーボールとともに繰り広げられたのは、壮絶な打ち合いだった。

まず、先発大貫が楽天の猛ラッシュにつかまった。先頭打者の茂木、島内と連続で二塁打を浴びて、先制のポイントを許した。ブラッシュに適時二塁打、続く銀次に四球を与え、無死満塁。もはやグロッギー状態の中、ウィーラーにど真ん中の直球を一、二塁間にはじき返されて3失点目。最後は辰己に押し出しの四球を与え、ラミレス監督が交代を告げた。1死も取れぬままのタオル投入。「ストライクゾーンに集めすぎてしまいました」と初回に6失点を喫した。

試合開始から33分間、殴られっぱなしでKO寸前。しかし、カウント9から打線が立ち上がった。楽天古川の乱れを突いた。1死三塁から3連続四球で1点を返し、なお満塁。ロペスの左翼フェンス直撃の2点適時打、大和の適時打で右腕をKO。2死満塁から、この回2打席目の神里が2番手戸村の147キロストレートに強烈なカウンターを食らわせた。左中間を真っ二つに割って、走者一掃の3点適時二塁打。「積極的に打っていきました」と今度は32分間打つ手を緩めずに7得点でひっくり返した。

奇跡のような逆転劇も、最後は5番手三嶋が回またぎの7回に山下に逆転2ランを浴び、敗れた。

この日は球団創設70周年記念の試合日。球場では大洋時代を振り返る特別VTRが放映。大洋ファンの子どもが大勢の巨人ファンの子どもに気おされ「W」のマークの野球帽を隠す場面があった。そのまま「心が折れそうになったこともあった。それでも-」とナレーションは続いた。15日にプロ野球史上初の球団通算5000敗に到達。弱さを味わってきたから、1勝の喜びをどの球団よりも知っている。だからこそ、ファンも選手も、最後まで諦めない。敗れたが、劣勢をはね返した力に、70年のDNAが見えた。【島根純】