阪神は交流戦明けの中日2連戦(ナゴヤドーム)で厳しい連敗スタートとなった。相手の先発柳を打ち崩せず、最後は延長11回にドリスの暴投でサヨナラ負け。

矢野燿大監督(50)は「点取らんと勝たれへん」と貧打の打線に苦言を呈した。柳には今季4戦2敗で防御率0・93に抑えられ、難敵になってきた。3連敗で5月2日以来の借金生活に入り、3位キープながらDeNAに勝率で並ばれた。5月から好調だった阪神が再び我慢どころを迎えた。

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投手戦は負ければ、ただの貧打戦にしかならない。延長戦は徒労になった。阪神が悪夢を見たのは0-0の11回だ。2死一、三塁。守護神ドリスが中日高橋へ投じた3球目は引っ掛けたフォークだった。ワンバウンドになって梅野も止められず、サヨナラ暴投…。矢野監督は「しゃあないやん、勝負にいってんねんから」と渋い表情だった。

打線の窮状が、苦しい戦いにつながっている。この日は好調の先発柳に苦戦。まるで歯が立たなかった。スライダー、カットボールやチェンジアップを織り交ぜ、バットはくるくると回る。屈辱的な10三振を奪われて、9つが空振り三振。速球で空を切ったのは投手の高橋遥だけだ。指揮官は「ゼロじゃ勝てんしね。柳もいい球を投げていた。球種もいろんな球で勝負できるのは、いま調子良いところ。こういう良い投手でもやっぱり点を取っていかんとダメ」と苦言を呈した。

5月11日に8回無得点だったが、またも沈黙。今季は4戦2敗の防御率0・93と難敵だ。クイックも巧みに交ぜられ、間合いも狂わされた。浜中打撃コーチも「クイックが多いのは分かっていたこと。交流戦から多くなっていたし、対策はしていたけど、予想以上にうまく使われた。いいところから落とされてボールも振らされて。いい投手は振ってしまうとそこに投げてくる」と険しい顔だった。

指揮官が繰り出す勝負手も実らない。4回は先頭で中前打の近本が二盗を試みたが刺された。11回は1死二塁で近本に代打原口を起用したが遊ゴロに倒れるなど、得点できない。奮闘するルーキーが代打を送られるのはプロ入り初めて。4月20日巨人戦から1番に定着して以降、打順不動だったが、調子は下降線をたどりついに動いた。矢野監督は「自分のなかで現状で一番、点取れることを選択してやったつもり」と悔しげに話した。不振だった交流戦のムードは変わらず、3連敗。5月2日以来、約2カ月ぶりの借金1を背負う。矢野阪神が踏ん張りどころを迎えている。【酒井俊作】