球宴仕様の白いスパイクシューズに黒土がへばりつく。巨人菅野智之投手が全セに立ちこめる暗雲を振り払うように、先発マウンドに上がった。「5連敗中なので。自分も携わっている。悔しいです。勝ちたい」と純粋に白星を求めた。

前半戦は8勝(4敗)も本来の調子には遠い。交流戦は腰の違和感で戦列から離脱。苦しみながら、粘り強く、歩みを進めてきた。だから「いい成績じゃないのに選んでいただいてうれしいです」と申し訳なさそうに頭を下げた。

先頭の日本ハム西川から直球勝負に徹した。球速は140キロ中盤までに制御したが、コーナーに投げ分け、2回を2安打無失点。球宴では65~69年の西鉄池永正明以来史上2人目の5年連続先発を務め、4年連続の無失点。「楽しむというと語弊がありますけど、肩の力を抜いてバッターと勝負できたのは、今年自分に足りなかった部分、忘れていた部分」と感じ取った。

パ・リーグの猛者に投げ込んだ18球。「後半戦に向けて、いいきっかけになればいいなと思います」とプラスにとらえた。次回登板は19日からの広島3連戦(マツダスタジアム)になる見込み。首位を独走する巨人のエースが、大いにエネルギーをチャージした。