主砲のお目覚めだ。ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ外野手(33)が今季初の4安打を放つ大暴れ。2本塁打は5月24日ロッテ戦以来だ。カード初戦だった7月30日は熱中症のような症状で途中交代。夏バテ気味だったが、試合直前に降った激しいにわか雨の影響で気温が下がったのも功を奏したか? 涼しいメットライフドームで持ち前の打棒が火を噴いた。チームは大乱戦を制し、2位日本ハムとのゲーム差を1・5に広げた。

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元気いっぱいになった大砲デスパイネが、ヘルメットを脱ぎ片足を上げるおなじみのポーズを披露した。6回2死、この日2発目となる25号同点ソロを左中間スタンドにたたき込んだ。「お互いによく点を取り、ピッチャーも頑張っていた。最後に勝ててうれしい」。試合後にはヒーローインタビューを受けた、この日誕生日だった上林にバースデーケーキをプレゼントするちゃめっ気も見せた。

夏バテ気味だった主砲にとっては「恵みの雨」だったかもしれない。試合前練習中、メットライフドーム周辺で激しい雷雨があった。ドーム球場とはいえ、屋根とスタンドの間が360度、吹き抜けになっている特殊な構造。グラウンドにまで雨粒が届くほどだった。雨が数分降り続いたあと、グラウンド上の気温が徐々に下がっていった。

デスパイネは日本特有の蒸し暑さにもやられたのだろう。このカード初戦だった7月30日、試合前から熱中症のようなフラフラする症状が見られ、1打席に立ったのみで途中交代。試合中にチーム宿舎へ戻り、静養した。復帰した翌31日は4打席に立ったが、無安打2三振に終わった。「チームに迷惑をかけていた」という無念の思いだった。

涼しくなった敵地で元気を取り戻したように打った。初回は2死一塁から右翼席へ先制の24号2ラン。3回は1死二、三塁で三遊間へしぶとく一時勝ち越しの適時打を放った。5回は無死から左前打で出塁し、上林の3ランを呼び込んだ。そして6回の2発目となる本塁打で、今季初めての1試合4安打を決めた。

7月を負け越しで終え、2位以下がじりじりと迫ってきた。工藤監督は「総力戦。みんなよく頑張ってくれた」とうなずいた。2日からは2位日本ハムと直接対決だ。復活したデスパイネにとってもうれしい? 涼しい札幌の地に乗り込み、宿敵を倒す。【山本大地】