広島鈴木誠也外野手(24)が単打2本で2打点をもぎ取り、5カード連続勝ち越しを呼び込んだ。リーグトップの打率を3割2分6厘に上げ、1発だけでない勝負強さを見せつけた。4番に導かれた打線は2回までに7点を奪い、13安打10点と爆発。2位DeNAに1・5差、首位巨人まで2差。ミラクル逆転4連覇が現実味を帯びてきた。

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泥臭く打球を運んだ。1回1死一、二塁。4番鈴木は先制点をたたき出すことに神経を集中させた。阪神先発岩田が投じた初球のツーシームに迷わずバットを出し、しぶとく左前へ。クラシックスタイルに変更したユニホーム姿で、一塁へ駆け込んだ。いぶし銀の先制打でチームを乗せ、一挙5点の猛攻を呼び込んだ。

攻撃の手は緩めない。2回2死一、三塁では、左前へクリーンヒット。6点目をたたき出し「打ったのはツーシーム。追加点になってよかったです」と話した。無理に1発を狙わず、次の1点を狙う。緒方監督からは「あそこでああいうタイムリーを打ってくれるんだから、もちろん大きい。ホームランだけがあれじゃない」とたたえられた。第3打席からは2四球を選んでチャンスメーク。リーグトップの打率は3割2分6厘に上げた。

東出打撃コーチは常々「誠也は自分で考え、自分で解決できる数少ない選手」と話し、絶対的な信頼を寄せる。西を打ちあぐねた3日の同カードも、そうだった。2打席三振に倒れた鈴木は、6回2死一、三塁の第3打席で左足を上げないノーステップ打法を選択し、食らいついた。三塁ゴロに倒れたが、なりふり構わぬ執念を見せつけた。勝っても負けても変わらないこの姿勢が、チームを鼓舞し、勝利を引き寄せる。

4番の思いがチームに伝わり、球宴後4度目の2桁得点となる10点で圧倒した。重ねた安打は13本。球宴後の18試合中9試合で2桁安打。快進撃の原動力は、つながりを取り戻した打線にある。首位巨人が敗れ、一時12あったゲーム差を、2まで縮めた。もはや首位の座は遠い目標ではない。手に届くところにある。【村野森】