虎が執念の集中打で連敗脱出だ。0-2で迎えた6回。4長短打で一気に逆転。V打は2死一塁から左中間適時二塁打を放った北條史也内野手(25)だ。負ければ自力優勝が三度消滅する可能性があった中で、連敗を3で止める価値ある一打。残り39試合。1戦必勝を貫き、上位浮上への扉を開く。

   ◇   ◇   ◇

フラッシュライトを浴びると、北條は照れた。

「甘い球が来たら、絶対にいってやろうと。コースを目付けして、うまく初球を打てました。それが長打になって、一番いい結果になりました」

6回。2-2と同点に追いつき、なおも2死一塁。イケイケムードの中、初球に食らいついた。外角への131キロチェンジアップを捉え、左中間への勝ち越し適時二塁打。勝負どころの快打で、与えられたチャンスをものにした。「昨日も(相手投手が)左で出してもらって、2打席ダメだった。悔しかったので、なんとかしようと思った」。2戦連続でのスタメン起用に、バットで応えた。

チームにとっては負ければ、今季最多の借金7を抱えるところだった。さらに自力優勝が消える可能性もあった。5回までチームは3安打に終わっていた。だが、6回、先頭打者の糸井の二塁打でムードは一変。大山が詰まりながら左前に落とす反撃の適時打。さらに2死となってからもあきらめない。原口が投手のグラブを強襲する打球で一塁に激走。2死三塁からの適時内野安打で追いついていた。その執念の集中打の締めが北條の一打。白星をつかみ、自力V消滅危機も救った。矢野監督は「自分たちの野球ができないと。打つべき人がある程度打って、得点して。うちらしく接戦になって。全体的にはもっともっと打ちたい」と打線の奮起に期待した。

甲子園で躍動した男は、夏場に強い。昨季は7、8月に打率3割2分5厘をマーク。今季もここまで2割9分4厘と結果を残している。8月は連戦が続くが「全部勝つつもりで臨みたい」と北條は力強い。9日からチームは京セラドーム大阪で5・5ゲーム差ある3位広島との戦い。残り39試合。ここで差を詰めなければ、厳しい状況だ。「またヒーローインタビューできるように。京セラ(ドーム大阪)ではホームなんで、いつも通り関西弁でいきます!」にこやかだった目は、マイクが離れると鋭さを戻した。【真柴健】