あぁ、また拙攻…。阪神は序盤の逸機が響いて巨人戦3連敗を喫した。

1回は先頭近本が2盗塁で三塁まで進みながら大山が凡退。その後も得点機で打てず、アーチ2発が飛び出したのは4点リードされてから。投打の歯車がかみ合わず、完敗した。8月の東京ドームは通算32勝81敗6分け。勝率2割8分3厘で、とんでもない「鬼門」になっている。打線が上向かない限り、逆転CS進出は夢のまた夢だ。

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前夜の悪夢はまだ続いていた。重苦しいムードが阪神打線を覆い尽くす。1回から東京ドームのスコアボードは再び「0」だけが並ぶ。8回に北條、福留の連続アーチが飛び出すが時すでに遅し。雌雄が決したあとの一撃は、逆にむなしさが際立っただけだ。三塁側スイングルーム。矢野監督も「同じやね、結局…」と首をひねるしかなかった。

幸先よく仕切り直すはずだった。1回、先頭の近本がセーフティーバントで出塁。立て続けに二盗、三盗を決めた。2死満塁だ。だが、大山が巨人高橋の速球に押されて遊直…。先制機はついえて、流れを手放してしまった。指揮官は「もちろん苦しい。同じような負け方でプロとして恥ずかしい思いは持って、何とかしたいという思いで戦っている。結果がこうなっている以上はね」と危機感を募らせた。

ルーキー左腕に太刀打ちできない。2回以降は打線が沈黙。得点を刻めず、4月4日のプロ初星に続いて勝利を献上してしまった。浜中打撃コーチは「2段モーションをやめて、真っすぐが速くなっている」と指摘。また、高橋は今回対戦から投手板の立ち位置も一塁から三塁側へ。過去2戦と異なる間合いを測りきれず、敗れ去った。清水ヘッドコーチも「(安打が)2本だからね。それじゃ苦しい」と嘆くしかなかった。

今年も忌まわしいジンクスが生きていた。東京ドームでは88年の開場以来、8月は通算32勝81敗6分けの惨状だ。勝率2割8分3厘の借金49に膨れた。今年も連敗し、今季ワーストタイの借金6に増えた。8月の東京ドームで失速する、そんな“風物詩”などいらない。残り31試合。好投する先発投手を援護できない貧打を打開しない限り、クライマックスシリーズは遠のく一方だ。【酒井俊作】