主砲の1発が楽天打線に火を付けた。3番浅村栄斗内野手(28)が、西武17回戦(メットライフドーム)の5回2死二塁、今季同カード8本目となる28号2ランを放って流れを引き寄せた。負ければ5月17日以来、3カ月ぶりの借金生活となる正念場を脱して3位を死守。首位ソフトバンクが敗れたため、自力優勝の可能性も復活した。

逆らわずに振り抜いた。4点リードの5回2死二塁、浅村が西武十亀の2球目、低めのシンカーをきっちり捉えた。楽天ファンの待つ右翼席に弾む2ランでリードは6点に拡大。「しっかり振れました。あと1点欲しい場面で打てて、今日はチームに貢献できたかな」と振り返った。この一撃が着火剤となり、8回に5点、9回にも2点を追加。終わってみれば「山賊打線」のお株を奪う13安打14得点で3タテを阻止。「ここにきて3連敗はできない。勝てて良かった」と少しだけ表情を緩めた。

今季西武戦17試合で66打数20安打の打率3割3厘、8本塁打、21打点。古巣に無類の強さを誇る。各投手の特徴をよく知るが、相性の良さを問われても「結果的に打っているだけ。本当に意識していないです」とあくまで自然体を強調。「東京ドーム(22日ロッテ戦で2二塁打)あたりから自分の良さが出てきたと思う」と自己分析する。

残り30試合を切り、CS圏内死守へ負けられない戦いが続く。「負けていい試合はない。西武だろうが下位だろうが、とにかく1試合1試合、戦っていきたい」。冷静な主砲が、熱い打撃でチームをけん引する。【鈴木正章】