阪神が長期ロードから27日ぶりに帰ってきた甲子園で悔しい0-1負けを喫した。

矢野監督は7回、一打逆転の好機に好調鳥谷敬内野手を代打起用したが二ゴロ凡退。鳥谷の発言から去就が注目され、この日一番の大歓声を浴びたが残念な結果になった。約5カ月ぶりに1番木浪、2番近本を並べた新打線も不発。ただ、3位広島との3・5差が変わらなかったのは救いか。29日こそ六甲おろしを歌いたい。

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甲子園が沸きに沸いた拍手喝采は報われなかった。1点を追う7回2死二、三塁。矢野監督がベンチを飛び出して勝負手を打つ。背番号1もバットを持って出てくる。代打鳥谷-。万雷のコールが降り注いだ。藤嶋との勝負だ。だがカウント1-1からの3球目、外角低めフォークを引っ掛けて二ゴロ…。通算2082安打のベテランは「狙い球というよりストライクが来たら打っていこうと思っていました」と悔しがった。

矢野監督は「あそこはもうトリって決めていた。俺はあそこは総合的に、すべてのことを含んで鳥谷で勝負したいと思っただけ」と言い切った。この日の試合前練習は雨のため室内練習場で行った。打撃は鋭い打球を連発。7、8月は21打数9安打、打率4割2分9厘と調子を上げ、もともと夏場に強いタイプだ。経験、勝負勘。プロ16年目の力量に託したが不発だった。

5年契約最終年の今季は厳しい立場にさらされている。この日の凡退で今季初打点もお預け。25日ヤクルト戦後には、今年最後の神宮での試合を終えて「自分もこれが最後(の神宮)になるかもしれないので、いい打席だったと思います」と意味深発言。谷本球団副社長兼球団本部長も「ああいうコメントを本人が発したのは、正直な気持ちだと思う。どこかで話をしてもいいなと思っています」と言及し、来季の去就会談を行う方針を明かしていた。

神宮で心境を吐露してから初めて本拠地でプレー。この日は声援に応えられなかった。長期ロードを終えて1日中日戦以来、27日ぶりの甲子園。指揮官は1番木浪、2番近本に打線を替えた。開幕4戦目の4月2日巨人戦(東京ドーム)以来の並びだ。1回に木浪が出塁したが、近本の痛烈ライナーは投直…。昨季、1勝2敗で防御率2・19と苦戦した小笠原相手にツキもなく、終わってみれば今季12度目の完封負け。甲子園での今季勝率5割復帰もお預けになり、2年連続で中日戦負け越しも決まった。

指揮官も「ゼロじゃ、勝てない。やはり悔しい。勝負どころで1本出ない、うまくいってないのは中日戦は特にそういうのが多い」と嘆く。3位広島との3・5ゲーム差は動かず厳しい戦いが続く。【酒井俊作】