左肘手術を乗り越えた中日小笠原慎之介投手(21)が、今季初、昨年7月28日巨人戦以来の勝利を挙げた。

初回に先頭木浪に左前打を許したが、近本を投直併殺に打ち取ってリズムに乗った。4回2死からはマルテ、糸原に連続死球。スタンドから虎党の怒号が飛ぶ中でも崩れず、続く大山を131キロの変化球で中飛に打ち取り危機を脱出した。「野手の皆さんに感謝です。今日は何とか粘れた。次につなげられたら」。緩急を使って打たせて取り、今季3試合目で最長の6回2/3を投げ、3安打無失点。阿部のソロでもらった1点を守ってマウンドを譲った。

初めて開幕投手を務めた昨年は5勝止まりで、9月にはプロ入り2度目の左肘軟骨除去手術に踏み切った。開幕1軍を目指した今年は左肩痛を発症し、実戦復帰は6月23日のウエスタン・リーグ広島戦までずれ込んだ。2軍で5試合に投げ、防御率1・50。10日DeNA戦で満を持して今季初登板したが、2試合続けて勝てなかった。「とにかくチームの力になれるようにやっていくだけです。(出遅れを)特別意識することはなかった。甲子園での初勝利? いやいや全然。ビジターなんで。また次も頑張りたい」。15年夏の甲子園大会で東海大相模のエースとして優勝した思い出のマウンドで復活。プロでも好相性の“ホーム”は5試合で3勝1敗となった。

2年連続で阪神戦勝ち越しを決め、与田監督もエース候補生の好投を褒めたたえた。「(初回に併殺とした)ああいう打球を捕れるのは、投球フォームのバランスがいいから。今年はそこまで(長いイニングを)求めていない。小笠原は故障上がり。今年は準備段階。今は100球以内で十分」。この3試合の球数はそれぞれ88、98、88。リミッター解除はまだ先ながら、頼れる左腕が先発ローテーションに戻ってきた。【伊東大介】