エース背信。広島大瀬良大地投手(28)が、中5日で先発した首位巨人との一戦で今季最短2回1/3で自己ワーストタイ10失点を喫した。

3連勝が求められた首位巨人との3連戦を負け越し。3戦目は頼れるエースで大敗を喫し、ゲーム差も7・5に広がった。

広島の追い上げムードを高めるどころか、敵地東京ドームをお祭りムードにする結果となった。エース大瀬良が巨人打線にのみこまれた。1-2で迎えた3回。先頭の亀井に四球。そこから岡本の3ランを含め、6者連続安打。さらに四球と犠打で1死二、三塁で降板となった。1年目の14年6月7日ソフトバンク戦での1回0/3に次ぐ、早期KO。自己ワーストタイ10失点を喫した。「本当に情けない。結果を出すことができず申し訳ない」。エースとともに、広島の4連覇の希望も崩れていくような大敗だった。

今季登板22試合目は中5日での先発となった。前回から「疲労を取ることを重視してやってきた」が、本調子とはほど遠い投球内容だった。真っすぐが走らず、得意球のカットボールのキレも欠いた。何とか角度を付けようと、プレートを踏む位置をこれまでの真ん中から三塁側に変える工夫も見られたが、1回を切り抜けることしかできなかった。

この日は球質だけでなく、制球力も今季の大瀬良のものではなかった。「1発を警戒し過ぎてボール先行になってしまった。自分の間合いで投球できなかった」。首位巨人打線相手に何とか目先を変えようとしても、内角を突ききれずに甘くなっては痛打される。

1点リードの2回は1死から死球、四球でピンチを招き、逆転2点打を食らった。3回も四球と安打で無死一、二塁。丸に適時打を許すと、岡本には外角カットボールを右翼席へ運ばれた。さらに3者連続長打と散々な結果。一方巨人は3回裏途中に阿部、4回表前には坂本勇をそれぞれベンチに下げるなど楽勝ムード。両者のコントラストが今のチーム状況を表していた。

3連勝が求められた首位巨人との3連戦で1勝2敗と負け越した。ゲーム差は7・5に広がり、その背中は遠くにかすむ。緒方監督は悔しさを抑えながら言葉をつむいだ。「エースが打たれ、外野手は球際の弱さをみんな出すし、ファンの人に申し訳ない試合になった。こういう試合のあとが大事。広島に帰ってしっかりとまた明日戦えるかどうか」。すべての目標が失われたわけではない。諦めムードになるのはまだ早い。【前原淳】