急失速中の日本ハムは、最強右腕をもってしても勝てなかった。打線は7安打も残塁の山を築き、今季8度目の0封負け。7回1失点と好投する先発有原航平投手(27)を援護できなかった。

8月は5勝1分け20敗で45年ぶりに月間敗戦数の球団ワースト記録に並び、月間15借金は球団ワーストを更新と負の連鎖から抜け出せない。8月2度目の5連敗で、18年4月1日以来となる単独最下位に転落した。

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これが、負の迷宮にはまったチームの姿なのか。0-1の9回1死二塁。中島の絶妙な犠打で、得点圏に走者を送った直後だ。西川の打球は、しぶとく三遊間を破り左前へ転がったが…二走の清水は、三塁へ進めなかった。

三塁へ進んでいれば、1死一、三塁。いつも朗らかな緒方守備チーフ兼内野守備走塁コーチの口調は、珍しく厳しかった。「しょうがなくはないでしょ。(三塁に進んでいれば)スクイズはないかもしれないけど、犠牲フライでも1点入ると打者は気が楽になる。相手投手も、変化球が投げづらくなるんだから」。今のチーム状況を象徴するかのような、悔やまれるミスだった。

苦手にしている左腕、辛島を捉えきれなかった。3回1死一、二塁の先制機は、4番中田がカーブを引っかけて三ゴロ併殺に倒れた。6回途中で救援陣にスイッチしても、流れは変えられず。7安打のうち、2死からの安打が4本。12残塁で今季8度目のシャットアウト負けを喫した。3打数無安打に終わった中田は「打てなかったことは事実。投手は頑張ってくれていたし、なんとかしたかった。自分の実力不足です」と、責任を背負った。

月間最多タイの20敗に月間最多新の15借金と、球団の“負の歴史”を次々と塗り替える悪夢のような8月だった。ちょうど1カ月前には、貯金9、首位に0・5差の2位。悪夢のような大失速で、ついに昨年4月1日以来の単独最下位に転落した。栗山監督は「明日から9月だ。頑張っていこう!」と、沈みがちな空気を振り払うように、わざと明るい声を張り上げた。たった一言。わずか3秒で取材を打ち切り、足早に球場を後にした指揮官の背中は、言葉とは裏腹に悔しさでいっぱいだった。【中島宙恵】

▽日本ハム有原(7回8安打1失点の粘投も7敗目)「チームが苦しい中で、何とか勝たないといけない」

▽日本ハム田中賢(8回2死一、二塁に代打出場。左中間への打球は相手好捕で中飛になり)「有原も良い投球をしていたので、何とか打ちたかったですけどね。残念です」

▼日本ハムが敵地で楽天に連敗し、8月の26試合を5勝20敗1分けで終えた。首位ソフトバンクに0・5ゲーム差の2位で8月を迎えたが、最下位に転落し、ゲーム差は8・5まで広がった。

▼日本ハムの月間20敗は74年8月(8勝20敗)に並ぶ球団ワーストタイ記録で、月間の負け越し数15は17年7月の14(4勝18敗)を更新するワースト新記録となった。74年8月は首位に3ゲーム差の3位で入り、最下位に転落。17年7月は首位に18ゲーム差の5位から、順位はそのままだったが27ゲーム差まで広げられた。