逆転CSへ2ゲーム差だ! 阪神岩貞祐太投手(27)が4カ月ぶりの先発で巨人の強力打線を封じた。6回無失点の好投で、開幕2戦目の3月30日ヤクルト戦以来となる今季2勝目。連夜のG倒で、3位広島に2ゲーム差に迫った。

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岩貞が悔しい思いをすべてぶつけた。6回2死一塁。昨季は9打数5安打3被弾と打ち込まれていた3番丸を内角低め直球で一ゴロに仕留めた。帰ってきた甲子園の大歓声に包まれながら、ゆっくりとマウンドを降りた。6回を71球、3安打無失点。二塁を踏ませない好投で今季2勝目。155日ぶりの復活勝利を挙げた。「(初回に)亀井さんにヒットを打たれて、それでしっかり地に足をつけて投げられた」。上がったお立ち台の第一声では「お待たせしました」。ファンに白星で帰還の報告ができた。

開幕2戦目の3月30日ヤクルト戦に起用され、今季初勝利を飾った。順調なスタートを切ったかに見えたが、思わぬ長期離脱となった。5月4日にインフルエンザA型で出場選手登録を抹消。上半身のコンディション不良にも悩まされ、長いリハビリが続いた。「1年間やるつもりでオフを過ごしてきたが、シーズンに入って、自分のイメージしたものとは全く違うものになっている。非常に悔しい思いはある」。鳴尾浜球場で、そんな本音をこぼす時もあった。

打者を抑えるためなら、何でもやるつもりだった。4カ月のファーム生活。「投げられなかった時間は取り戻せない」。走者なしの場面でクイック投球するなど打者のタイミングを外すなど工夫を凝らした。「気持ちよく打たれることは避けたいと思っていた。ファームからやってきたことなので、いい所でそういう小技が出せた」。苦しい時期も決してムダな時間ではなかった。

競い合う仲間の存在も刺激になった。同期入団の岩崎、梅野、陽川。原口、秋山は同学年の91年組。5人が1軍でプレーする姿を見ていた。「負けてられないというか…。残り(試合は)少ないですけど、もうひとつ活躍して、少しでも取り戻せるように」。追いつこうと必死に左腕を振った。

矢野監督は好投の左腕に「意気込みは感じていた。サダらしい生きの良い(投球)」と評価した。連夜のG倒で3位広島と2ゲーム差。岩貞は8日広島戦で次回登板が見込まれる。「残り1カ月、結果で示していかないといけない。これからがとても大事になる」。復活の左腕が、逆転CSの切り札になる。【奥田隼人】

▽阪神福原投手コーチ(先発岩貞に)「よかったと思います。腕も振れていた。持ち味を出してくれた、次も期待できるピッチングだったと思います」

<今季の岩貞>

◆3月30日 開幕2戦目のヤクルト戦に先発。6回1/3を無失点で初勝利。

◆4月6日 広島戦で鈴木に本塁打されるなどで負け投手に。

◆同13日 中日戦で、京田に満塁本塁打を浴び連敗。

◆同20日 巨人戦で7回4被安打の好投も、石川の2ランに沈む。

◆同28日 中日戦で5回2失点も白星はつかず。

◆5月4日 インフルエンザと診断され登録抹消。

◆同29日 2軍戦で先発予定も、背中の張りのため急きょ回避。

◆7月10日 ウエスタンリーグ・中日戦で実戦復帰。救援で1イニング3者凡退。

◆8月24日 2軍戦では4試合目の先発となったオリックス戦で、8回無失点の好投で復活をアピール。