プロ野球独立リーグ・BCリーグの新潟は前、後期ともに2位でシーズンを終えた。

15年以来の東地区チャンピオンシップ進出はならなかったが、清水章夫監督(44)は野球人生初体験の監督生活の中、チーム打率地区2位、チーム防御率はリーグ2位と選手の力を伸ばした。続投が決定した指揮官が今季を振り返りつつ、来季を見据えた。

   ◇   ◇   ◇

清水監督の来季続投が発表されたのは11日。9日に44歳の誕生日を迎えた翌々日だった。「サポーターの期待に応えられなく、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と目標だった東地区チャンピオンシップ進出、独立リーグ日本一を逃したことを悔やんだ。同時に「来季は監督としてさらに成長し、応援してくれる人、選手が笑顔で野球が楽しめるようにしたいです」と、初めてチームを指揮した今季の手応えをにじませ、来季に臨む意気込みを示した。

-野球人生の中で初めて監督を務めたシーズンを終えての心境は

清水 前、後期とも2位で年間勝率6割7分2厘も2位。能力の高い選手たちを預からせていただいたのに目標に1歩届かなかったのは悔しいです。僕の未熟さが出てしまった。

-内容的にも接戦がほとんどで、優勝と遜色ないものとも言えるが

清水 大事なところで勝ち切るために選手を鼓舞するなど、もっとやれたことがあったと思います。采配そのものではなく、試合に入る前の選手への対応や、打席に入るとき、マウンド上でひと声かけるなど。1つ間を置いてやっていれば。今になって気づくことがあります。

-チーム打率は2割8分5厘で東地区2位。チーム防御率3・56もリーグ2位。ドラフト候補の長谷川凌汰投手(23)の成長など選手は育った

清水 選手が聞いてきたら答えられるようにしていました。僕自身も野球を極めたわけではない。選手に聞きながらやっていましたね。なぜそういう投げ方なのか。選手の考えを理解した上でプレーを見ると違いが分かります。そのときに『さっき腕が上がっていたな』と感想を伝えたりしました。

-監督という立場になって感じたことは

清水 選手みんなに満足してもらいたいし、みんなに気持ちよく試合に出てもらいたかった。ただ、スタメン以外はプレーボールを迎えられない。控え選手にはもどかしさがあるはず。なんで野球って(指名打者を加えた)10人なんだろうって。今までそんなふうに考えたことはなかったです。あいつも使いたいけど、あいつも…。これまで自分が関わってきた監督さんたちも、そういうふうに悩んでいたのかなと思いました。

-そういう視点を持てたのは収穫では

清水 プロ野球を引退後、サイクルショップに勤めました。接客から何からすべてを学びました。厳しく、優しく指導してもらったことが今はすごく大きい。野球だけやっていたら分からないことばかりです。野球をやっているときは試合に出られないと、俺は必要ないのか、と、すぐに思いがちだったけど、決してそうではない。また、そう思わせたくない。必要とされる場面が必ずあると選手が感じられるように、こちらがしなければならない。

-どんなシーズンだった

清水 野球に携わることができてよかったし、うれしいことも選手からたくさんもらいました。新潟のファンの声援はいちばん大きく熱い。すごく感謝しています。来季はみんなが最後まで野球を楽しめるようにしたいです。【聞き手・斎藤慎一郎】

◆清水章夫(しみず・あきお)1975年(昭50)9月9日生まれ、大阪府出身。大阪高では軟式野球部で投手。近大で硬式に転向し、4年のときに全日本大学選手権で優勝。97年のドラフト会議で日本ハムから1位指名を受け入団。00年5月の近鉄戦で初勝利。07年6月にオリックスに移籍し、10年に引退。19年1月にBC新潟の監督に就任。プロ通算成績は279試合登板、17勝29敗2セーブ、防御率4・61。