日刊スポーツ評論家が直撃! 今季、ソフトバンク若手急成長の筆頭株、周東佑京内野手(23)に、浜名千広氏(49)がインタビューした。ここぞの俊足でチームに勝利をもたらす武器で、ジャパン選出も確実となった。育成出身「韋駄天(いだてん)」の極意とは? 現役時代に快足で沸かせた浜名氏が、その秘密に迫る。

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浜名氏 とりあえずシーズンが終わって率直な気持ちは?

周東 うまくいっている部分はあるが、まだ力が足りない方が多いです。

浜名 武器である盗塁のスタイルは自分としては、何を重視している?

周東 あんまりスタートはいい方ではないんですが、そこは中間速でカバーすることを心がけてます。

浜名 やっぱりスライディングも工夫してる?

周東 自分としてはあまり特別な意識はしていないんですが、なるべくベースの近くでスライディングすることですかね。ベースを刺すイメージです。

浜名 ヘッドスライディングはしないよね。

周東 まったくしたことがないです。足からの方がだんぜん速いし、それしかしたことがないです。

浜名 育成から支配下選手になるまでは簡単ではなかったでしょう。

周東 1日でも早く支配下登録にならないといけないので、認めてもらわないといけない。自分のいいところを見てもらうことに専念してました。ボクの場合は支配下登録すぐに1軍だった。そこからは見せることより、とにかく結果にこだわりました。

浜名 今年はケガ人が多く、若手にとってはチャンスの年だったが、最後までしっかり1軍に残ったね。

周東 走塁ですね。まだまだ打つ方では落ちてしまう。しっかり内外野も守れて、走塁面では期待された場面で決められました。

浜名 どうして自分はうまくアピールできたと思ってる?

周東 例えば盗塁を決めないといけない場面がある。本来はアウトになったらいけないけど「アウトになってもいいや」ではないですけど「オレが走ってアウトになるんだったら、誰も成功できない」と思うようになったんです。

浜名 今季、一番うれしかったプレーを挙げるなら?

周東 楽天戦で、盗塁を決めてタイムリーでかえってこれたことです。

◆7月21日、楽天戦(楽天生命パーク)。1点リードの9回1死から安打で出塁した明石に代わって代走で出場。2球目に二盗に成功。その後、甲斐の三遊間を抜けるゴロの安打で、一気にホームインした。

周東 盗塁は一瞬、スタートが遅いと思ったが、磨いてきた中間速のスピードでうまくスライディングできた(リクエストでのリプレー検証の末に判定通りにセーフ)。今年で一番の盗塁だった。ホームインも打球では無理かなと思ったが、ベースをうまく回れた。もちろん、スライディングもうまくできた。流れとして完璧だった。

浜名 感謝したい人はいますか?

周東 一塁コーチャーの本多コーチには感謝してます。走ることには声かけてもらってます。二盗の時も「ここはきついかな」と思っていても「普通にスタートきれれば大丈夫だから」とささやいてくれます。気持ちが楽になって走る勇気がもてます。

浜名 9月28日オリックス戦(京セラドーム大阪)ではタイミング微妙な内野ゴロでも三塁から一気のホームインの走塁は見事だった。CSでも期待されるでしょう。

周東 ボクはそういうところで生きていかないといけないと思ってます。

浜名 現状で今後、目標としていることは?

周東 まずは打力アップです。そして将来的には1番打者で内野を守りたい。もともと内野なので。あとは60盗塁を目指したいです。