激闘に敗れた阪神矢野燿大監督(50)は、今日7日の第3戦でのCSファーストステージ突破を誓った。

1点を追う9回2死で福留が同点弾。喜びもつかの間、その直後、岩崎が悪夢を見た。1死一塁で代打乙坂に速球を強振され、2ランは右翼席へ。だがサヨナラ負けを見届けた指揮官はサバサバと接戦を振り返った。

「すごいいいゲームやったんじゃないの、みんな。お互い、すごい、いいゲームできたと思う。その決め手が最後に向こうにあったというだけのこと」

死力を振り絞った。3点を追う5回に北條、福留の適時打で1点差に詰め寄ると、6回は代打上本が同点打を放った。試合を振り出しに戻した。何度も劣勢をはね返し、DeNAにしぶとさを見せつけた。前日5日は6点差をひっくり返した。プレーオフ、CSではプロ野球史上最大の逆転勝利。この日も瀬戸際で神懸かり的な執念が光った。

7日の第3戦で雌雄を決する。勝てば9日から巨人と戦うCSファイナルステージ進出。負ければ今季終了。指揮官は、とうの前から腹をくくっている。

「今日負けたから、どうこう言うのは別にない。やりきってくれたらいい。特別なことは、ここに来てできるわけじゃない。素晴らしい戦いをしてくれている。明日もやりきってくれたらいいだけじゃないかな」

シーズン終盤の6連勝でCS進出に導いた采配はブレない。この日は6回からガルシアに継投したが勝ち越された。7回は打撃好調の北條が出塁すると代走植田を投入。惜しくも二盗を阻まれたが勝負手を連発。前のめりに倒れた。

「明日も総力戦で行く。明日、最後どっちが勝つかで、ずっと6連勝のときからウチはそういう戦いをしてきている。明日になったからって、俺は何も変わらない」

負ければ今季限りで退団を表明した鳥谷のタテジマ最終戦になる。ベテランとともに日本一へ。再三の修羅場を乗り越えたナインに、再び意地の見せどころがやってきた。【酒井俊作】