中大が国学院大を破り、先勝した。これで開幕から無傷の5連勝で首位を突っ走る。中大が開幕から5連勝を果たしたのは00年春、巨人・阿部慎之助選手が4番としてチームを引っ張って以来だ。

日本シリーズ進出をかけ、明日からCSファイナルステージに勝負をかける阿部先輩へ。『中大・4番』を引き継ぐ男・牧秀悟内野手(3年=松本第一)が勝利を贈った。4回表、無死一、二塁。今秋ドラフト候補の国学院大・横山楓投手(4年=宮崎学園)の真っすぐを捉えた打球は、神宮の風に乗りレフトスタンドへ吸い込まれ先制3ランに。試合の流れを一気に引き寄せた中大は、5回以降も毎回走者を出し6、7、8回と加点した。牧は「4番として、思い切っていこうと思った。いい形で打てました」と胸を張った。

大学日本代表で4番を打った経験が、牧をひとまわり成長させた。今夏の日米大学野球選手権大会では、今秋、ドラフト候補の好打者とともに戦う中で、打席での考え方を学び意識改革。「それまでは狙い球を待っていた。でも、どんどん振っていった方がいいと聞いた。今は積極的に振る中で、甘い球を捉えるようにしている」。早めに仕掛けていくことで、タイミングも合わせやすくなり1発で仕留める力を身につけた。「後手に回ることがない。秋は、大学日本代表での経験が生きている」と今リーグ戦では勝負強さをアピールしている。

清水達也監督(55)も「牧の1本でチームが活気づいた。4番としてしっかり流れを作ってくれた」と笑顔でたたえた。

この日、東都大学野球にはドイツのテレビ局・ZDFが取材に訪れていた。来年開催される東京オリンピックで採用される野球について『なぜ日本ではアマチュア野球がこれだけ普及されているか』という企画内容。取材クルーにインタビューされた牧は「自分はプロに行きたい気持ちがある。大学で野球をやるのは、プロで試合に出られることが多いからです」と、堂々とプロ志望宣言をした。

中大は、このカードで勝ち点を挙げると、04年秋以来の優勝が一気に近づく。牧は「春は2位で終わっている。ここまできたら優勝しか狙っていません」。と、力強く語った。