東大は法大に逆転負けし、10戦全敗で今季を終えた。17年秋から続く連敗は42となった。エース小林大雅投手(4年=横浜翠嵐)が1回戦に続き先発したが、9回11安打6失点で2試合連続完投負け。通算51試合0勝29敗で大学野球に幕を閉じた。法大は8勝2敗の2位で終了。次週の早慶戦で開幕8連勝中の慶大が2連敗すれば、優勝決定戦となる。明大は立大に先勝した。

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100球目だった。4-3と最少リードで8回に突入。東大のエース小林大は悲願の初勝利まであと6アウトだった。法大・福田への初球真っすぐが高かった。右中間へ消える同点ソロ。両膝に手をついた。だが、すぐにファイティングポーズを取り戻した。無死三塁を招くも、後続を抑えた。「副将、エースとして、投げる姿を見せないといけない。チーム全体の士気に関わる」と顔を上げた。9回に2点勝ち越されても前を向いた。最後の攻撃。先頭で遊ゴロを打たされ全力で走った。結果は同じでも決して諦めなかった。

前日に86球を投げたが、2試合とも先発と決まっていた。起用に応え、6回まで1失点。打線の援護を受け初勝利が見えてきた終盤、敵の執念につかまった。

浜田一志監督(55)の目は赤かった。「ごめん…」と震える手で帽子を目深にかぶり「今の戦力の中で全力を出してくれた。誇りに思う。どうしても小林に1勝させたかった」と、絞り出した。左腕は大学で野球を終える。0勝29敗の4年間。「球が遅い分、気迫で10キロ、15キロを上乗せできるか。勇気を持てるか。これからの人生でも決断の瞬間がある。臆せず、思い切りぶつかりたい」。人生の勝負はこれから。戦う姿勢は変えない。【古川真弥】

▽東大・辻居新平主将(2安打2得点も勝利ならず)「結果は負けですが、最高の試合ができたと思う。100%の力を出し切って、負けました」