先発完投で「西西ローテ」! 阪神ドラフト1位の創志学園・西純矢投手(18)が4日、岡山市内のホテルで仮契約を結んだ。

契約金1億円プラス出来高3000万円、年俸1200万円(推定)。現在はカブスのダルビッシュら先発完投型の投手を参考に肉体強化中。1年目の1軍登板を目標に掲げ、遠縁にあたる西勇輝投手(28)との「西西ローテ」結成を目指す。

   ◇   ◇   ◇

西の表情は、どこかこわばっていた。見たこともない契約金の数字に、プロになる実感がわいた。「すごくびっくりしました。ここからプロ野球選手になるためのスタートを切ることが出来たのかなと思いました」。大船渡・佐々木、星稜・奥川らとともに、甲子園のスターとして注目されてきた。目標は「1年目から1軍の試合で1試合でも多く投げること」。再び聖地をわかせる日を夢見た。

「小さい時から憧れる前田健太投手のような投手になれるように」。広島県出身の西は幼い頃、カープの試合をよく見に行った。目指すはその時焼き付けたドジャース前田のような先発完投型の投手だ。「先発したからには、最後の回まで投げたい思いがある。完投は出来るだけ多くしたい」。投手分業制が主流になってきたなかで、西はこだわりを持つ。

現在はカブスのダルビッシュやソフトバンク千賀らの動画を見て、体つきを研究中。「先発完投ボディー」を目指し、ウエートトレーニングで下半身強化に励む日々だ。高校時代はケガ知らずの強靱(きょうじん)な体の持ち主。ベスト体重の88キロをキープしながら、もっと鍛えていく。「自分の目指している先発完投型の他球団の投手であったり、阪神タイガースの投手の方に勉強させてもらいながら、目指していけたらと思っています」。

阪神にいいお手本がいる。遠縁にあたる西勇輝は、今季先発ローテーションの柱として26試合に登板し、勝ち頭の10勝をマーク。イニング数もキャリアハイの172回1/3に到達した。ドラフト指名後に、初めて電話で話し「おめでとう」と祝福されたという。「自分は早く追いつけるように頑張っていきたいなと思います」。目標の1軍登板を実現させれば1年目から「西西ローテ」も夢ではない。

「12球団の中でも熱狂的なファンの方々がいらっしゃると思う。ファンの方々を喜ばせられるようなピッチングができれば」。現代野球で数少なくなった先発完投型。甲子園の「あと1球」コールをバックに、最後はトレードマークのガッツポーズを決める。大きな夢を抱いてタテジマに袖を通す。【磯綾乃】

◆西純矢(にし・じゅんや)2001年(平13)9月13日生まれ、広島県出身。小学2年から鈴が峰レッズで軟式野球を始め、阿品台中ではヤングひろしまに所属。中学3年夏に全国優勝。同3年時にNOMOジャパンに選出された。創志学園では1年春からベンチ入りし、2年春から背番号1を背負う。2年夏に甲子園出場を果たし、1回戦で16奪三振完封を果たすなど活躍。最速は154キロ。遠投120メートル。50メートル走5秒9。184センチ、88キロ。右投げ右打ち。