広島林晃汰内野手(18)が5日、秋季日南キャンプの紅白戦で決勝打を含む2安打とアピールした。

前回の紅白戦で無安打に終わった結果から、新打法の意識を大きく変えた。先輩西川の助言も、実戦での好結果につながった。内容や取り組む姿勢も首脳陣は評価。初の1軍キャンプで得られるものは、経験だけではない。球団期待の長距離砲は、実り多き秋にする。     ◇     ◇    ◇

力をバットにぶつけた。紅白戦の5回2死一塁。林は、平岡の直球を強振した。右翼線への二塁打となり、一塁走者を本塁にかえした。前の打席でのキャンプ初安打に続く初長打が、勝ち越し打となった。負ければ坂道ダッシュが待っていた白軍野手を救う一打で、首脳陣の評価を高めた。

佐々岡監督 必死にアピールしようとしているのが見えた。必死に食らい付いて、1戦目と2戦目で違うものを見せてくれた。

新指揮官は若い選手に「失敗した後のプレー、取り組む姿勢」を何より求める。キャンプ初実戦となった3日の紅白戦で林は4打数無安打に終わった。奥歯をかみしめ、打撃の意識を変える覚悟を抱いた。キャンプインと同時に軸足に重心を残す打法に変えたが、映像を見るとイメージと実際のフォームに違いがあった。「もっと極端にやってみよう」。捕手側に上体が傾くほど、重心を100%軸足に残すように変えた。

同じ右投げ左打ちの西川の助言もヒントとなった。「もっと打ちに行っていい」。探るようにゆっくり体重移動するのではなく、投球に力強くぶつけるように移動させるようにという指摘。紅白戦前の打撃練習から「バットに(球を)乗せて打てている感じが出てきた」と変化を感じた。東出打撃コーチも「つかみかけている。1日で飛距離が変わった」と目を丸くした。

結果が出なかった後の行動で、林は結果と内容をものにした。長打も出た。その姿こそ、佐々岡監督が望むもの。練習最後のロングティーでは東出打撃コーチから他の選手の約2倍の500~600球をトスされながら、最後まで力強く振り抜いた。「スイング(スピード)や長打。そこを求めつつ、その上でアピールしたい」。今こそ、バットを振って、振って、振り抜くときだ。【前原淳】

◆林晃汰(はやし・こうた)2000年(平12)11月16日、和歌山・岩出市生まれ。岩出小1年から「岩出ヤンキース」で捕手、三塁手として野球を始める。岩出中では「紀州ボーイズ」に所属。2、3年と全国大会出場。智弁和歌山では1年夏からベンチ入り。18年ドラフト3位で広島入団。1年目は2軍でチーム3番目に多い102試合に出場、打率2割2分5厘、7本塁打、35打点。182センチ、90キロ。右投げ左打ち。