野球少年の勝利者とは、プロ野球選手になることではない。巨人原辰徳監督が沖縄・那覇市で「ファンケルキッズベースボール2019」に参加。高橋前監督らとともに496人の小学生を指導した。

冒頭のあいさつでは「とにかく挑戦する気持ち。自分の大きな夢、持っている夢というものを描き続ける。そうすれば必ず近づいてきます。正しい努力をすることも目標、目的に近づくこと」と訴えた。

「正しい努力」の1つは基本を徹底すること。打撃練習ではネット越しに少年たちの正面に立ち「ここだ。ここに打とうと」と自らが的になり、センター返しの意識を持たせた。腕の力だけで打つのではなく、下半身から始動すれば、自然と上半身が強く回転する。リラックスムードの中で、伝えたことは。

「やはり基本ですね。プロ野球選手はいろいろ個性がある。例えばイチロー君であったり、素晴らしい選手がたくさんいます。マネしよう思うでしょうけど、彼らは基本があって、自分の形が出来上がっている。野球は何でも下半身。バッティングも守備もキャッチボールも。基本は小学生でも、今年引退するプロ野球選手でも変わりません」

ボールの握り方から指導したキャッチボールから、内外野の守備、走塁、打撃。約3時間のメニューをみっちりと終えた。

「一番間違ってはいけないのは、プロ野球選手になることが勝利者ではない。これは伝えたい。懸命に頑張る姿が、やはり勝利者。野球を通じて、立派な社会人、立派な人間になることがとても大事なこと」

チーム競技だからこそ、仲間たちと喜びも悔しさも分かち合える。基本を学ぶ大切さと、野球を通じた人間教育。両輪を伝え続けていく。【前田祐輔】

▽日刊スポーツは「ニッカンジュニア」としてジュニア世代向けの原稿を掲載しています。毎週水曜日付の首都圏版では「週中ベースボール」と題して、野球の練習方法の紹介やプロ野球選手が子供向けに体験談などを語っています。ニッカンスポーツコムでもご覧になれます。