虎の20年1・2番コンビはいかに-。阪神矢野燿大監督(51)が、かねて抱く近本光司外野手(25)の2番起用について、2月のオープン戦を含めた実戦でのチャレンジを明言した。

同時に1番打者争いも激化するプランで、指揮官の構想には糸井嘉男外野手(38)も候補に入っている。この春、20年打線の骨格がどうなるのか、目が離せない。

   ◇   ◇   ◇

得点力アップへ、虎が新打線構想にチャレンジする。矢野監督はかねて温めている近本2番起用について「オープン戦とかで試していく。そこで(近本が)勉強するというのも、もちろん頭にありながら」と明言。2月春季キャンプ(沖縄・宜野座)での実戦や、同22日の中日戦(北谷)で初戦を迎えるオープン戦で試す意向を明確にした。

「2番近本」は矢野監督が理想に掲げる打線形成のポイントだ。「俺の中では近本が理想と思っているが、近本の成長がないと2番っていうのはできない。一番生きる部分を考えたとき、2番よりも1番であれば1番で使う。(ただ)俺の中では2番は『左打者の足が速い選手』というのが戦っていて嫌」。近本は1年目の昨季142試合出場したが、最多は1番の108試合で、先発2番は28試合と経験が少ない。指揮官は昨秋の高知・安芸キャンプ中の紅白戦でも近本を2番起用しており、この春からは本格挑戦する構えだ。

それを受け、コンビを組む1番打者を巡る争いが激しくなる。矢野監督は「2番が決まると1番(を決めるの)は楽。1番はやれる選手が多い。北條もいけると思うし(糸井)嘉男だって。(糸原)健斗だって木浪だって。(植田)海だって入ってくるかもしれん」と候補を列挙。沖縄で自主トレを進めている糸井の名も挙げながら、トップバッター候補に思いを巡らせた。

糸井はオリックス時代の16年に53盗塁で盗塁王に輝いた。昨年36盗塁した近本との「盗塁王コンビ」誕生の可能性もある。この日、鳴尾浜で自主トレを行った近本も「1番であっても2番であっても、走れる状況になった時に走るのが大事かなと思います」とコメント。足攻めの意識は打順に左右されることはない。

昨季、阪神のスタメン1番打者の合計出塁率2割9分2厘は、セ・リーグでワーストだった。19年リーグ3位の打率3割1分4厘、出塁率4割3厘を誇った糸井が先頭に入れば、得点源として大きな魅力にもなる。もちろん、すべて構想段階だが、昨季両リーグワーストの538得点に終わった虎打線が、1、2番コンビから大きく変わる可能性がある。【松井周治】

▼糸井が1番で先発したのは、昨季は1試合だけ(4打数1安打)で18年は0。阪神移籍1年目の17年は25試合で先発し、打率3割5分、盗塁も8個マークした。糸井は今季が39歳シーズン。ベテランになると1番起用が少なくなるが、近年では、15年に40歳シーズンの松井稼頭央(楽天)が42試合1番を打ち、6盗塁を記録した例などがある。

<阪神V時の1、2番>

▼85年 日本一になったこの年は真弓が1発長打のある1番として打率3割2分4厘、34本塁打、84打点の大暴れ。2番は主に弘田が務め、しぶとい打撃でバース、掛布、岡田の強力クリーンアップにつないだ。

▼03年 主に1番を打った今岡が打率3割4分で首位打者獲得の大活躍。1番で72打点を挙げた。2番は赤星が138試合で務め、61盗塁をマーク。3番金本、4番桧山、5番片岡らの前で好機を作り、18年ぶりのリーグVを引っ張った。

▼05年 1番赤星が60盗塁の脚力でチャンスメークし、2番鳥谷がつないでシーツ、金本、今岡らの3~5番でかえすパターンで得点を量産。赤星は5年連続盗塁王で119得点、今岡は147打点で打点王を獲得。2年ぶりVを呼んだ。