日本ハム大田泰示外野手(29)が“場外1号”を放った。球春が迫る28日、沖縄・名護での先乗り自主トレに鶴岡慎也捕手兼任バッテリーコーチ(38)西川遥輝外野手(27)と合流。フリー打撃では40スイングで柵越え9本と、キャンプ地に先乗りしている巨人など4球団の選手では“一番乗り”の場外弾も2発と好調さを示した。

  ◇    ◇    ◇

快音とともに舞い上がった白球は、真新しい防球ネットの上を越えた。先乗り自主トレに合流した大田が“場外1号”を放った。マシン相手の26スイング目。打球は左翼方向の東シナ海に向かって飛んでいった。その後、打撃投手を務めた宮西からも“場外2号”を放つなど計40スイングで柵越え9本。「風あるからね。ネット低いし」とクールに謙遜したが、豪快な試運転を披露した。

生まれ変わった球場で、早くもハッスルした。タピックスタジアム名護は、本拠地・札幌ドームと同じ両翼100メートル、中堅122メートル。改修前より両翼が3メートル、中堅は4メートル広くなった。この日は「札幌ドームも広いので、しっかり振り込んで強い打球を打ってフェンスオーバーすれば(打球は)飛び込む」と想定して、バットを振った。結果は、同じように先乗り自主トレ中の巨人、中日、ロッテの選手に先んじる“最速”の場外アーチ。幸先の良いスタートにも「まだまだ確実性を出さないといけない。1日1日、充実して納得して終われるように」と余念はない。

見据えるのは「翔平越え」だ。左翼への場外弾には納得しておらず「翔平は、あそこだからね」と指した先はバックスクリーン上部、スコアボードのさらに上。エンゼルス大谷が推定160メートル弾を在籍中2度記録しており、かつてのチームメートの弾道を意識した。今季は調子の波を安定させることが目標で、フルイニング出場、30本塁打を掲げている。ハイレベルな数字へ、キャンプ前から目の色が違う。

中軸を担う責任も意識している。中田、ビヤヌエバとの共闘による得点力アップで、リーグ5位に終わった昨季の屈辱を晴らしたい。「パ・リーグはレベルが高い。打つ方で投手を助けられたら」。チーム初実戦となる2月8日紅白戦での“新球場1号”も期待されるが「ここで1号打ってシーズンで打てないのは…」と苦笑い。覚悟がにじむ12年目の幕開け。球春到来の号砲を鳴らす。【田中彩友美】

◆大谷の名護での場外弾 名護キャンプ“日本ハム記録”となる160メートル弾を、在籍中に2本放っている。1本目はプロ3年目の15年2月19日、練習試合出場後に行ったプロ初の特打118スイング目で放ち、スタッフの「(スコアボードを)越えたぞ~」の言葉にガッツポーズした。2本目は5年目の17年2月18日で、自身キャンプ初の屋外フリー打撃で、41スイングで13本柵越えを放ち、7本あった場外弾のうち1本が中堅後方のスコアボードを越えた。