近本君、1番中堅空いてまっせ! 侍ジャパン稲葉篤紀監督(47)が「ポスト秋山」として阪神近本光司外野手(25)を挙げた。5日、沖縄・宜野座キャンプを視察。不動の1番だった秋山が米大リーグのレッズに移籍し、東京五輪への派遣を許可されない可能性がある中、猛虎のスピードスターに着目した。阪神は昨年11月のプレミア12でロッテとともに選出ゼロだったが、五輪でダイヤモンドを疾走する姿に期待が膨らむ。

  ◇    ◇    ◇

稲葉監督のキャンプ行脚は、1番打者の探訪でもある。北京五輪の同僚でもあった阪神矢野監督と情報交換。左の中継ぎ候補の岩崎らとともにプロ2年目の近本の名前が挙がったことは想像できる。「昨年やってみて、ある程度プロ野球というものが分かって、今年は勝負ができる年かなと思う。(侍では)1番バッターが今、抜けたので期待したい部分はある」。ポスト秋山の後継候補の1人としてリストに入れた。

1番秋山は稲葉監督が組む打線の基軸だった。指揮した28試合で9選手が1番を担ったが、秋山はトップの10試合で断トツの打率3割6分4厘。直前に負傷離脱したプレミア12では山田哲が代わりに切り込み隊長として活躍したが、選択肢は広げたい。近本の名前が挙がるのは必然だった。

周東が“侍フェラーリ”としてプレミア12で突破口を開いたように、国際大会で俊足は有効だ。「足は使っていきたいと思っている」。昨季盗塁王の近本は加えてセ・リーグの新人最多安打記録を立てたように打力もある。期待値が高いからこそ、指揮官はあえて課題も口にした。

「もちろん、足も速くて、1番打者というのはやはり出塁率というものが求められると思う」。昨季の出塁率3割1分3厘からの伸びしろにも着眼した。この日のケース打撃でヒットを放ち、盗塁練習を繰り返した近本は「しっかりと自分のやることはやっていきたい」。虎初の外野手オリンピアンは夢物語ではない。【広重竜太郎、桝井聡】

▽阪神矢野監督(稲葉監督の視察に)「東京で五輪というのはなかなかあることではない。協力できるところは協力して、お互い頑張りましょうと話しました」

▽阪神梅野(侍稲葉監督から代表候補に挙げられ)「そんなチャンスなかなかないと思う。もちろん、そこに対しては気持ち的には熱く持っています。頑張って結果を残していきたい」

▼阪神の五輪代表選手 五輪で野球が正式種目となったのは92年バルセロナ大会だが、プロが参加するようになったのは00年シドニー大会から。このときは阪神から選出なし。オールプロとなった04年アテネ大会では安藤、藤本が選ばれ、08年北京大会は藤川、矢野、新井貴が選出された。近本がメンバー入りすれば、阪神の外野手としては初めてのことになる。