遊撃バトル負けん! 阪神北條史也内野手(25)が8日、今季初の実戦となる中日戦(沖縄・北谷)でド派手な決勝アーチを放った。

6-6で迎えた9回に中日藤嶋の直球を左中間芝生席に突き刺した。ポジションを争う木浪聖也内野手(25)が4回に「チーム1号」となる3ランをマーク。遊撃を争う2人のアピール合戦で2年目矢野阪神が最高の船出を飾った。

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北條のバットから乾いた打球音が響いた。同点で迎えた9回1死。カウント3-1から藤嶋の直球を完璧に捉えた。打球は追い風にも乗ってバックスクリーン左の芝生席にズドン。「風という部分もありますけど、1本出て良かった。打ててなかったので」。両軍合わせて20安打13得点の打ち合い合戦。ケリをつけたのは、この日の「1日キャプテン」を務めた男だった。

バチバチに火花を散らした。遊撃のポジションを争う木浪が、4点を追う4回に目の覚めるような3ランを放った。昨季は遊撃でチームトップの88試合でスタメン出場した同世代の木浪が、今季初実戦で2安打3打点の活躍。北條は「気には別になっていないです。試合に勝ちたいという気持ちが強かった」と冷静に話したが、気迫のこもったフルスイングに思いがあふれ出ていた。

オーダーからも首脳陣の意図が透けて見えた。この日、7番遊撃で先発出場したのは木浪だった。9番DHで出場した北條は、6回の守備から遊撃の守備に入った。ただ、そこに現時点での優劣はなく矢野監督は「今日はじゃんけんで決めた」と明かした。同じ試合に同じポジションを守って競争を意識させる-。北條VS木浪の構図は明らかだった。

幸先よく白星発進の矢野監督も勝利の立役者となった2人の遊撃手を絶賛。「明日は(スタメンを)逆でいくけど、そういう高いレベルで争ってくれたら。ジョー(北條)の最後の打席は内容があったし、いいショート争いが初戦から出来た」とヒートアップする競争をあおる。北條は「いい打席を増やしていきたい」と表情を引き締めた。1歩も引かないショート争いが、沖縄をさらに熱くする。【桝井聡】

▽阪神井上打撃コーチ(北條、木浪が結果を出し)「ジョーにしても、セイヤにしてもいい味出してたね。2人がこうやってみんなを引っ張ってくれたら。初戦からバチバチ系でいけたというのはいいよね」

◆持ってる北條 光星学院時代、4季連続甲子園に出場し、3年夏は4本塁打を放った。プロでも勝負強さは健在で、昨季、負ければクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅する9月21日広島戦では、途中出場で決勝2ラン。DeNAとのCSファーストステージでも、10月5日の第1戦で5打点を挙げ、CS史上最大の6点差をひっくり返す逆転劇を呼び込んだ。