矢野阪神の新構想がいきなり機能した。1点を追う5回無死一、二塁。バントや右打ちなど多様な作戦が考えられる中で「2番中堅」に入った近本光司外野手はノーサインで初球にバントの構えを見せた。

中日阿知羅を揺さぶり、ボールカウントを1つ稼いだ。続く2球目。外角130キロ直球を今度は強振し、右中間を破る2点適時三塁打。「1球見逃して、真っすぐがくると思った。しっかり振り抜けました。ちょっと(バント)したろかなと。ストライクだったら、ファウルでもいいかなと思ってました」。続く植田の浅い左飛では、俊足を生かして生還。20年初陣から持ち味を発揮した。

指揮官も新打順に手応えをつかんだ。この日のオーダーは井上打撃コーチに任せたが、唯一要望したのが近本の2番起用だった。「内容がある。(バントを)やってやろうかという部分と、打って、しかも結果を出すという素晴らしい打席。ああいう風につなぐと、すごく得点能力が上がると思う。(2番は)チカ自身の野球のレベルが上がっていくプラス、チームにとってもプラスがあると思う」。今後も適性を見極めていくが、矢野監督に1発回答で応えた。