4番は任せてください! 広島鈴木誠也外野手(25)が14日、ロッテとの練習試合(コザしんきんスタジアム)で豪快弾を放った。

今年初の対外試合、初打席、初球、初スイング。ロッテ唐川からセンターバックスクリーン左へ1発。今年も主砲としてチームをけん引する姿勢を結果で示し、佐々岡真司監督(52)に初陣勝利をプレゼントした。

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「ガツンッ!」。バットが弾いた衝撃音とともに、白球はセンターバックスクリーン左へ一直線に飛んだ。強烈な逆風はものともせずだ。佐々岡カープ初陣の対外試合。4番に起用された鈴木誠が一振りで球場の空気を変えた。2回無死。ロッテ先発唐川の初球137キロを仕留めた。スタンドは打球音に驚き、弾道に見とれ、飛距離にうなった。表情変えずにダイヤモンドを一周する背番号1に、この日一番の拍手が送られた。

25歳の若き主砲は進化を止めない。キャンプ初日から10本の柵越えを披露し、初めて投手を相手にした5日のフリー打撃でも1本塁打を含む3安打。フリー打撃から打球音が他の選手と異なり、弾道も鋭い。クール最終日に選手が歯を食いしばって行うロングティーでは1人、1100グラムのマスコットバットで1カゴ約300球を打ち続けた。

昨年プレミア12で大活躍し、稲葉ジャパンを世界一に導いた。だが一切慢心はなく、技術向上に余念がない。20年初実戦となった10日紅白戦は2打数無安打だったが、投手の球筋を見ることにテーマを置いた。「見る段階は(1次キャンプの)日南でしっかりやってきたので、またステップを上げてやっていきたい」。 4回にも左翼ポール際に特大のファウル。最後は中飛に打ち取られたが、手応えを感じている。今後の実戦では、積極的に振っていく中で感覚を研ぎ澄ましていくつもりだ。「どんどん自分のスイングをして、その中で自分に何が足りていないのかを把握した上で取り組んで行けたら。まずは振らないと自分がどういうところに置かれているか分からない」。広島だけでなく、東京五輪で侍の4番も期待される20年。主砲が佐々岡新監督に初陣勝利を届け、絶好のスタートを切った。【前原淳】