白星発進も笑顔なし! 広島佐々岡真司監督(52)が14日、初采配を振ったロッテとの練習試合をサヨナラ勝利で飾った。

幸運な形での初陣勝利にも、指揮官は浮かれない。好内容を示した選手を認める一方で、期待する選手のふがいない内容には苦言を呈した。期待するからこその厳しさが、指揮官が求める一体感を強固にしていく。

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最後は連続押し出し死球で、サヨナラ勝利が転がり込んできた。指揮官として初勝利も、佐々岡監督は喜ぶそぶりすら見せなかった。いつも笑顔の「仏の佐々岡」が、実戦モードに入り「鬼」の一面を見せた。

佐々岡監督 白星と言っても、今はまだ気にしていない。フランスアには入りの悪さを課題と言ってきた。期間が短い中でも、あっち(ドミニカ)でやってきたと聞いていた。(対外試合登板は)早めであった中でも内容的にはさみしい。

チームに「一体感」とともに「競争」を求める。昨季抑えのフランスアも例外ではない。9回に登板し、3安打2失点。新外国人の2投手がアピールを続けるだけに、立て直さなければポジションもなくなる。一方で無失点投球で結果を残した塹江、高橋樹、矢崎の中継ぎ陣には「競争している中で次につながる。今は結果も内容も求められる立場にある」と及第点を与えた。

先発遠藤は3回に失策から2失点(自責0)するも、左右の打者への内角球には角度があった。1月に変えた投球フォームはフリー打撃、シート打撃、紅白戦と精彩を欠き、佐々岡監督から「仏の顔も三度まで」とばかりに、「(フォームをまねする)千賀君に失礼」と言われた。1次キャンプ終盤にフォームを戻して再起を図ったばかり。指揮官は変わり身に「内容的には悪かった時よりは(良くなっている)という感じはしました」と今後の巻き返しに期待する。

同点の8回1死一塁では三好にエンドランのサインを出した。守備では鈴木誠がスライディングキャッチ。菊池涼も一、二塁間をゴロで抜ける当たりに滑り込み、中堅西川もダイビングキャッチでつかみ取った。対外試合初戦から指揮官が掲げる投手と野手の一体感が垣間見えた。優しさと厳しさを使い分けながら、チームを戦う集団に作り上げていく。【前原淳】