阪神が26日、沖縄・宜野座キャンプを打ち上げた。矢野燿大監督はキャンプMVPの1人として、真っ先に高山の名を挙げた。

「野手でいえば高山。あとはマルちゃん」。さらに熱いコメントが続いた。「強い思いを持って1か月やりきりましたし、それが結果というところにしっかりつながっている部分もある。一番は気持ちの成長」。ポジション奪取に燃える背番号9の姿は、指揮官にくっきりと刻まれていた。

高山は昨年105試合出場も、こだわってきた先発出場は62試合だった。悔しさを糧に、この春のキャンプでも成長を遂げた。実戦10試合で34打数10安打(打率2割9分4厘)1本塁打1打点。意気込みは数字に表れた。高山は「早かったですね」とキャンプを振り返った。矢野監督は打撃だけでなく、走塁への意識や、練習に取り組む姿勢も含めてのMVP選定だ。その一報に「一番アピールできたということだったので素直にうれしい」。それでも、高山を含めて外野陣には熱いバトルが待つ。近本、福留、糸井、新助っ人サンズと強敵がずらり並ぶ。近本は2番構想がすすめられており、開幕センター起用が基本線。事実上、両翼の2ポジションを巡る争いだ。オープン戦へ、高山は「頑張るだけです。1日1日」と表情を引き締め直した。

矢野監督は開幕直前までバトルを継続させる方針。「孝介(福留)、嘉男(糸井)もこれから試合に出てきて、もちろんサンズも出てきて、となると、そのうちのスタメンはチカ(近本)も含めて3人しか出られない。開幕まである中で最終的に(スタメンを)決めていこうかなと思う」。高山のMVPは競争激化の20年虎を象徴する存在でもある。だからこそ、指揮官はキャンプ総括で「100%はないと思うが、それに近いところをやれたかな。100%になったら成長がない。僕たちはまだまだ上を目指している。そういうところで100%ではない」と満点ではないものの、手応えをにじませた。

矢野監督が「日本一になると決めてスタートしたキャンプ」。鍛錬の日々から開幕への最終準備の段階に入る。3・20の開幕メンバーに高山が入るのか、激しい戦いは続く。【松井周治】