「球春みやざきベースボールゲームズ」として予定されていたオリックス対ロッテの練習試合は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、無観客試合で行われた。一般公開のなかった試合をリポートする。

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1回裏、オリックス1番中川の鋭いライナーがセンターへ飛んだ。それをロッテ藤原がファインプレー。一塁を守る安田が「よっしゃ」と気持ちを込めて口にした。叫んだ訳でもないのに、その声はネット裏まで聞こえた。

オリックス山本、ロッテ美馬。投手陣の柱を担う両先発の対決で、先に崩れたのは山本だった。3回表、ロッテの7番田村が右中間への二塁打で出塁すると、続く打者は8番安田。直近の試合では三振も多く苦しんでいたが、山本の153キロ直球を完璧にはじき返し、右中間二塁打。1点を先制した。

久しぶりの会心の当たりに、安田は「あのスイングを続けられるよう頑張ります」と喜んだ。さらに藤岡、藤原も続いて4連打。ロッテが3点を先制した。

対するオリックスも3回裏、ロッテ美馬から1死満塁のチャンスを作り、3番吉田正が、安田と同じような当たりの右中間二塁打。2点を返した。開幕投手内定済みの美馬は3回2失点。「ある程度、変化球で空振りが取れるようになったのはいいことかなと思います」としながら、シュート回転しがちな外角直球への課題も口にした。

4回からはオリックスが榊原、ロッテが岩下と、こちらも先発ローテーション入りが期待される右腕が登板した。榊原は6回までの3イニングを投げたが、4回と6回にそれぞれ2安打1四球を許し、合計4失点。山本同様、下位打線に打たれており、課題が残った。

ロッテ岩下は4回先頭打者に死球を許すも、何とか3回1失点でしのいだ。打者14人に対し、外野フライが4つ。芯で捉えられても外野の頭を越させない球威があり、3回8失点と荒れた19日DeNA戦からしっかり改善してきた。

ロッテは4点リードで迎えた8回表、オリックス神戸を捉え、4点を追加。先頭の福田秀が、フルカウントからしっかり四球を選んだことがビッグイニングにつながった。終盤でリードする展開ながら、福田秀は四球の瞬間に「ヨッシャー!」と喜び、ベンチを盛り上げた。

河野打撃コーチに「さぁ、ヤス!」と鼓舞されて打席に入った8番安田も、やや詰まりながらレフト前に落とした。この日、これで3安打。攻守に精彩を欠く試合が続いていたが、井口監督は「オープン戦は数字が出てくるので、しっかりアピールしてもらいたい」と、3月以降も引き続き1軍で積極起用する意向を示した。

ロッテは、好投を続けていた右腕小野が9回に2失点したものの、11対5で勝利。対外試合の連敗は「9」で止まり、今季NPB球団との試合でようやく初勝利となった。

試合後の野手ミーティングではいつも手厳しい鳥越ヘッドコーチも、打線がしっかり機能したこの日は「やればできるやないか」とただひと言。井口監督も「さぁ、帰ろう」とひと言で締めた。球場の外には、30人ほどのファンが寒い中を待っていた。【ロッテ担当=金子真仁】