苦しんでいた阪神大山悠輔内野手(25)が目覚めの猛打ショーだ。「7番三塁」でソフトバンク戦に先発。4回の第2打席。泳ぎながらも東浜のカーブをバットの先で捉えると、打球は左翼スタンドへ。6回は古谷の直球を左翼テラス席に運び、9回に森のカットボールを左前打とした。キャンプの実戦10試合で、38打数7安打(打率1割8分4厘)0本塁打に終わっていたが、3安打と大暴れだ。

大山 今やっていること、意識していることがしっかり出来たので良かった。感覚を忘れないように。練習で出来たことがなぜ出来たか、というのを考えてやっていきたい。

指揮官のアドバイスに結果で応えた。キャンプ打ち上げ前日の2月25日に矢野監督が直接指導していた。なかなか結果がでない大山に、球を前でさばくだけでなく、引き込んで打つ重要性を伝えた。この日の練習でも球を捕手寄りに呼び込んで中堅から右に打つ姿があった。

矢野監督 全部内容があった。どの打席も、ファウルも。練習もいい形になってきていた。今日も「ええなあ」と試合前に話をしていた。すぐに結果に出たのは、今これでいいのかな、という確認と安心感があると思う。すばらしいね。1個のポイントで打ちにいっている間は、率も本塁打も上がってこない。今日みたいのが理想やろな。

3安打はいずれも打った球種が違い、対応した証しでもある。さらに本塁打は2本ともファーストスイングで仕留めたものだった。

大山 (2本目の本塁打も)狙ったボールを一発で仕留められたのは良かった。なぜ良かったかをしっかり考えて。続けていけるようにしたい。

大山本人が表情を引き締めたように、激しい競争は続く。1日のソフトバンク戦はポジションを争うマルテも出場予定。開幕三塁バトルはまだ決着がつかない。それでも、苦境の中で大山に光が差し込んだのは間違いない。【松井周治】