「エア超満員」の本拠地で、超人が1番出撃する。阪神糸井嘉男外野手(38)が今季初の甲子園開催となる4日広島戦でリードオフマンとして起用される。

新型コロナウイルス対策で無観客試合となるが、超満員の観客&ヤジをイメージするという糸井節がさく裂。開幕戦の相手であるヤクルトは左腕石川が開幕投手に指名されたが、同じ左打者の2番近本とのコンビで攻略する。

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さあ、甲子園も球春到来。例年ならワクワク感とともに声援と応援歌が鳴り響くこの時期の聖地甲子園に、今年は心強いファンの姿はない。そんな寂しさを吹き飛ばすように糸井が周囲を爆笑させた。「いるイメージでやります! ばりヤジられているイメージでやります!」。超満員のエア観客とエアヤジを頭に思い浮かべながら…。糸井節で意気込んだ。

今季の本拠地お披露目となる広島戦は1番右翼でスタメン出場する。左足首手術からの復帰戦となった2月23日広島戦(コザしんきんスタジアム)では、即2安打をマーク。その際も1番だった。オープン戦では高山、糸原も1番で起用されており模索中ではある。矢野監督も「現状、自分の中ではめていこうと思ったときに、(糸井は)1番がいいのかなと思っているだけ。まだ決めたわけでもない」と説明したが、開幕までオープン戦残り9試合となったこの時期の起用は、本番での現実味がさらに増す。

開幕も「イト・チカ」の可能性は十分にある。1番糸井、2番近本の並びは、開幕戦の相手となるヤクルトの左腕石川も関係なしだ。一般的に左投手は右打者が相性がいいが、矢野監督は首を振る。「タイプによる。(石川は)左打者にとって嫌なピッチャーではないと思う」。石川の宝刀シンカー、チェンジアップは落ちる系のボール。左打者にとって「あまり食い込むボールはない」と左右は考えない。

「2番近本」は、矢野監督が理想に掲げる打線形成のポイントになっている。誰が近本とコンビを組むのか…。昨季、阪神のスタメン1番打者の合計出塁率2割9分2厘は、セ・リーグでワーストだった。19年リーグ3位の打率3割1分4厘、出塁率4割3厘を誇った糸井が先頭に入れば、得点源として大きな魅力にもなる。この日の甲子園練習でも44スイング中9本の柵越えをマークした超人は「頑張ります!」とひと言。黄色に染まったスタンドをイメージして今年初の甲子園で躍動する。【桝井聡】

▽阪神井上打撃コーチ(1番糸井について) いろんなことが考えられるけど、どう考えてもボーア、サンズが1番を打てない。近本が2番に行くなら、嘉男(糸井)も足が万全なら、全然1番いけるでしょ。恐怖感を与えると言う意味ではもってこい。今で言うとガッツあふれる俊(高山)が行くということもあるでしょうけど。相手にとって1番糸井というのは結構なプレッシャーは少なからずあるでしょう。