富士山よりデカい? 男が開幕ローテ入りへ猛アピールだ。左腕最長身タイ193センチの2年目の楽天弓削隼人投手が4回無失点と好投した。

直線距離で富士山から約50キロ離れた静岡・草薙球場で、毎回の5安打を許すも要所を締めた。今季実戦4試合で12回を投げ2失点。防御率1・50と抜群の安定感で伊藤投手チーフコーチを「あいつは富士山よりデカいからね。今日のピッチングであれば(開幕ローテ)候補になってくる」と冗談交じりにうならせた。

四季折々に彩られる名峰のように、多彩な変化球で惑わせた。長い手足をフル活用しながら、この日最速140キロの直球は、ややシュート気味に動く。カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、フォークに昨秋からツーシームも導入。見下ろすように圧倒! はせず、球速帯の近い変化球を低めへ丁寧に集める。奪三振は1。打たせて取るのが真骨頂だ。

昨季は初勝利初完封を含む3勝。三木監督からは「経験を生かして勝ち取ってほしい」と期待され、松井、辛島、塩見らとの左腕枠争いに悠然と挑む。「先発も多いのでなかなかチャンスはもらえない。特徴、個性を生かしてアピールできれば」。標高約3776メートルの富士山と3774メートル差。謙虚な左腕が日本一へのピースとなる。【桑原幹久】