阪神が新型コロナウイルス拡大防止に伴う開幕延期で、本来なら開幕カードだった20日からのヤクルト3連戦(神宮、練習試合)で若手投手を抜てきする方針を固めた。好投中のドラフト6位小川一平投手(22=東海大九州)も1軍延長が決まり、開幕1軍のチャンス到来だ。一方、ベテラン藤川球児投手(39)は20日からの2軍中日3連戦(ナゴヤ球場)で登板する見通し。異例の登板プランで、想定外の事態を乗り切る。

「一平ちゃん」が株を上げるチャンスがきた。といっても夜店の焼きそばで有名なインスタント麺ではない。自己最速149キロで鳴らす剛腕ルーキーの小川の神宮遠征参戦が決定。16日、金村投手コーチは甲子園で「ボールは一級品。面白い。即戦力だし、十分できる。カットボール、チェンジアップも非常に魅力がある」と高評価を与えた。

オープン戦の最終戦、15日オリックス戦の力投も判断材料になった。7回に登板。1死一、二塁でT-岡田を内角148キロ速球で遊飛に詰まらせるなど1回無失点。小川も「真っすぐで打ち取れた。自分のなかで大きかった」と手応えを口にした。11日ヤクルト戦も1回無失点でオープン戦は2試合無失点。ヤクルト3連戦は開幕1軍に向けた“追試”になる。同コーチは「2軍から若い子を呼んで」と説明。他の若手もヤクルト戦に登用する方針だ。

ベテラン陣も抜かりなく調整する。守護神藤川は20日からの2軍名古屋遠征に参加する方向。同コーチは「球児も空きすぎても気持ち悪いだろうし」と続けた。13日のオリックス戦は1回5失点だったが、開幕延期を受け、変化球を試す場と決めていた。最短4月10日開幕で先行きも不透明なため、オンとオフの切り替えも含めた柔軟な調整が必要になる。今回は異例の2軍戦登板で状態を整える。

小川は10日の1軍合流時に、憧れの藤川から「一平ちゃんであだ名、決まりやね」と声を掛けられた。愛称は活躍すれば、すぐ覚えてもらえること間違いなし。ツバメ斬りで逆転開幕1軍を目指す。【酒井俊作】

◆小川一平(おがわ・いっぺい)1997年(平9)6月3日生まれ、神奈川・逗子市出身。逗子小2年で野球を始め、逗子中では軟式野球部。横須賀工では3年夏の県2回戦で敗退した。東海大九州では16年入学直後の熊本地震でチームがリーグ戦出場を辞退し、自身も避難生活や一時帰省を強いられた。2年時に大学選手権出場。182センチ、80キロ。右投げ右打ち。背番号66。今季推定年俸700万円。