秋田県三種町出身で社会人野球ヤマハ(静岡)のジャンボ右腕・近藤卓也投手(25)が、社会人4年目のシーズンを迎える。最速150キロを誇る力強い直球に磨きをかけ、チームを30年ぶり都市対抗優勝に導く覚悟だ。

昨季、近藤は明らかに覚醒した。18年に就任した石井隆之コーチ(46)から「持ち味の速球を磨け」と進言され「ウエートトレーニングをより意識して取り組むようになった。長身を生かした角度のある投球ができるフォームにも変えた」(近藤)とフルチェンジを決断した。昨季の東海地区2次予選2試合に先発し、第1代表決定戦では東邦ガス(愛知)相手に7回4安打1失点の力投で、3年ぶりの都市対抗本戦へ導いた。日本文理高(新潟)で09年夏の甲子園準V投手・伊藤直輝(28=東北福祉大)が引退し、今季から背番号「19」を引き継いだ。「チームが勝つための投球がしたい」とエースの自覚も備わってきた。

忘れられない瞬間が、今に生きている。12年夏、秋田商のエースとして臨んだ高校野球県大会決勝で、当時2連覇中の能代商と激突。敗戦も意識した9回裏2死走者なしから、2点差をひっくり返す劇的なサヨナラVで7年ぶり甲子園を決めた。近藤は言う「最後まで諦めないことを学んだ」と。甲子園でも福井工大福井に勝利し、秋田県民を熱狂させた。「今でもすごく印象に残っていますよ」。故郷を思い出したのだろう、声を弾ませながら振り返ってくれた。【佐藤究】

◆近藤卓也(こんどう・たくや)1994年(平6)10月28日生まれ、秋田・三種町出身。小学2年から野球を始め秋田商では1年春からベンチ入り。3年夏に甲子園出場。青学大でプレーし、17年にヤマハ入社。右投げ右打ち。身長187センチ、体重88キロ。