北東北大学野球リーグの富士大(岩手)が、強固な投手陣構築に手応えを得ている。すでに強豪社会人に内々定している4年生5人衆を中心に、伸び盛りの下級生も信頼度抜群だ。18年秋にリーグ史上初の10連覇達成後、昨年は春、秋ともにV逸。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今春のリーグ戦は今月30日開幕に延期中。巻き返しに向けて、豊田圭史監督(36)は140キロ超9投手リレーの秘策も視野に入れた。

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183センチの長身左腕・登藤光(4年=九里学園)は、独特な2段モーションの投球フォームで真上から投げ下ろす。ボールにも緩急をつけ、打者のタイミングをずらしてアウトを重ねる。「ピンチでも表情に出ないのが自分の良さ。最上級生なので勝ちにつなげる投手になりたい」。昨年は、入学後に味わったことのない悔しい結果に危機感もある。他の4年生投手とともに、ラストイヤーで意地を見せる覚悟だ。

1年秋に左肩を手術し、昨秋にようやくリーグ戦デビューした。9月8日のノースアジア大戦で初登板先発し、4回2/33安打無失点。勝ち星はつかなかったが、存在感を示して勝利に貢献した。「この冬は完投できる投手になるために走り込んだり投げ込んだりしてきた。ランメニューはタイム設定を明確に常に全力で取り組めた」。体力増強は球のキレにもつながった。

散歩が趣味。知人になった学校近くの高齢者宅で飼われている柴犬ランを連れ気分転換することも多い。現在は練習制限や練習試合自粛中のため、特に大切な時間でもある。実戦不足ではあるが、今春の神奈川キャンプ中には社会人や大学生相手に好投。「こいつが投げれば大丈夫とチームから信頼させることが大事」。フル回転の準備は整っている。

豊田圭史監督(36)も4年生の奮起に期待する。タイプの異なる投手陣に層の厚みも増してきた。昨年に経験を積んだ下級生を含め「4年生が切磋琢磨(せっさたくま)して成長してくれているし、誰を使っても計算が立つようになってきた。1試合を9人で1イニングずつ投げさせることも考えています」。9人総動員リレーが富士大の武器となるかもしれない。【鎌田直秀】