プロ野球は25日、12球団代表者会議を開き、同日に1都3県と北海道の緊急事態宣言が解除されることを前提として、6月19日の開幕を発表した。当面は無観客とする。

   ◇   ◇   ◇

120試合で、特にセ・リーグはCSが中止になれば、優勝以外は日本シリーズに出場できない。ある意味、真の日本一を目指す昔のような戦いになる。首位チームには他球団がエース級をぶつけてくるケースも増えるだろう。私の現役序盤も130試合制でCSもなかったが、50~60試合で借金2ケタまで膨れ上がると巻き返すのは容易ではなく、Aクラス入りさえ厳しかった。今季は、シーズンの半分を消化した時に借金1ケタに踏みとどまっていなければ、優勝は難しくなるだろう。

選手層の厚みも、より一層、大事になってくる。固定されたレギュラーと、控えの差が大きいチームは苦しくなる。6連戦がずっと続く長丁場になり、まとまった中断期間もない。試合数が、これまでより少ないとはいえ、勝負どころでも先発投手の中4日での登板を繰り返すことは難しいのではないかと思う。

誰も経験したことのない、予想のできないシーズンになる。6月頭から練習試合を再開し、開幕を迎える。真剣勝負の昨季の公式戦から約8カ月も遠ざかっている。例年の5カ月程度のブランクとは違う。本当のパフォーマンスを出せるかは分からない。やはりプロ野球選手はすごいと思わせるのか、または「何だこのプレーは?」というのも出てくる可能性がある。この約2カ月半、限られた時間と場所の中で工夫して個々としてプラスにできたか。1人1人のプロ野球人としての素質と自覚がはっきり表れるかもしれない。

最後に付け加えたいのは、こういう未知のウイルスに直面した状況だからこそ、CSの開催はセ・パで足並みをそろえてほしい。日程の消化の違いという事情はあるかもしれないが、プロ野球界として公平性と姿勢を大事にして、一丸となって乗り切ってほしい。(日刊スポーツ評論家)