中日ドラフト3位の岡野祐一郎投手(26)が、“山賊狩り”で開幕ローテーション切符をたぐり寄せた。

敵地でリーグ2連覇中の西武相手に4回を投げ、4安打1失点。2回は4番山川からの3者連続など主力から4三振も奪った。即戦力を期待される社会人出身らしい「技」と、新人らしい「力」を存分に発揮。与田監督の評価は一層高まった。

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岡野のクレバーさが光ったのは2回だった。先頭の4番山川をスライダーで3球三振。「山川選手が足を引いて待ってるように見えたので、3球目はクイックで投げてタイミングを外そうと」。左足をいったん止める、独特の間があるフォームを逆利用。2球で追い込むとクイックで外角にボール気味のスライダーを投じ、ハーフスイングを誘った。昨年のキングを熟練の技で仕留めると、続く5番外崎もスライダーで、6番中村は144キロ直球で3者連続の空振り三振ショーだ。

新人らしいパワーピッチを見せたのは3回だ。昨年首位打者の3番森のフルスイングにも腰は引かない。この試合最速となる146キロで遊飛に仕留めた。先頭栗山からの3連打で1点を失ったその後、落ち着いてアウトを2つ重ねてから、森を斬った。甘く入った直球を狙われての3連打は「流れをつくり切れなかった。まだまだもっとよく投げられるんじゃないかと思っている」と反省も忘れなかった。

社会人出身らしい「技」と新人らしい「力」を織り交ぜ、4回を4安打4三振1失点。リーグ2連覇中の山賊打線を抑えたことに意義がある。大野雄、柳の両輪を軸にベテラン吉見、小笠原、梅津、山本らと争う先発ローテーショーン6枠入りに大きく前進だ。

「自分のテンポで考えながら投げて、抑えることができたんじゃないかと思います」。そう振り返りつつ「新人らしく思い切ってやっていきたい」と初々しさも見せた。与田監督は「非常にテンポがよかった。体全体を使ってボールを低めに集めることができていた」と高評価。26歳の即戦力ルーキー右腕が開幕ローテに一直線だ。

◆岡野祐一郎(おかの・ゆういちろう)1994年(平6)4月16日生まれ、宮城県出身。聖光学院(福島)で3年春夏の甲子園に出場。大谷や藤浪らとU18高校日本代表に選出された。青学大では2年春からエース。東芝では1年目からエース格。17年都市対抗で優秀選手賞を受賞。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。