阪神と阪神甲子園球場が8日、日本高野連に加盟する野球部の3年生全部員に「甲子園の土」キーホルダーを贈ることを発表。阪神矢野燿大監督(51)が今回の企画の経緯や思いをたっぷりと語った。
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-規模が大きく、大変だと思うが、話はスムーズに進んだか
「みんな何かしら応援したいと。気持ちがなかなか切り替えられていない子もたくさんいる中で、ほんの少しだけでも前に向けるようになるものはないか、と。何かしたいというみんなの思いがあった。それを今回その思いを集めて実現できるっていうのは阪神ならではのことだと思った。みんな一致団結して賛同してくれました」
-監督、コーチ、選手、スタッフ自身で土を集める
「僕たちが土を集めることでそのキーホルダーの中に僕たちの思いっていうのも入って球児に届いてほしい、と。ただ単に物を贈るんじゃなくて、僕たちの気持ちを届ける。ほんとに裏方さんも園芸さんも球団も、選手、コーチ全員が応援しているよって。思いを込めるために、全員で土を集めてそれを贈るっていうところに一番の意味というか、気持ちを込められるっていうのがあるんじゃないかなということで、みんなでしました」
-阪神の選手に感じて欲しいこと
「高校球児のみんなが1度は来てみたい、この甲子園球場で僕たちはホームグラウンドとしてやらせてもらっている。今年は本当に当たり前のことがなくなってしまったような状況になって。より、この球場で戦っているっていうことのありがたさと、そしてこの高校球児や監督や保護者の思いをね。僕たちは、う~ん(言葉に詰まりながら)持ってね、試合に臨むっていうことが。これからそういう人たちに向かっても何かメッセージを、僕たちの姿からも伝えられるように。そういう姿をみんなが見せてくれると思う。僕もその思いで戦っていきたい」
-キーホルダーを受け取った高校生にどういうふうに感じてもらいたいか。
「気持ちをどこにぶつけていいか分からないモヤモヤした中で、苦しんでいるみんながいるなかで、僕の勝手な未来を想像すると、このキーホルダー、土を持った子と会えたらすごくうれしい。かばんやリュックやそこに付けてくれている子と出会うかもしれませんし、もしかしたらプロの世界で一緒に合う子もいるでしょうし。もしかしたら阪神園芸さんに入ってくる子もいるかもしれないし、トレーナーで来る子も。一般社会で普通に働いてっていう子が、もしそれを持ってくれているのを見たときには特別な思いっていうのでお互いつながりというのが出ると思う。そういう未来を。今は受け止められない気持ちかもしれないですけど、1歩でも踏み出す、みんなの後押しになる未来を想像して届けさせてもらおうかなと思っています」
-高校生たちに今季、阪神のどういった戦い方を見せていきたいか。
「タイガースのチームスローガンはイッツショウタイム(It’s 勝笑 Time!)。勝つというところに笑いっていう字を入れていることに、すごく意味があると思う。楽しいときに楽しくやるのは当たり前。僕たちもなかなかプロの世界で好きな野球をやらせてもらっている中でも苦しかったり、うまくいかないことで悩んだりする。その苦しい状況だからこそ、笑ったら乗り越えられるんじゃないか、と。苦しいことを楽しめたときに僕らは勝ったり、自分のパフォーマンスが上がったり、挑戦できたり、そういうのにつながっていくチームスローガンが、ほんとに今年ぴったりだと思う。僕たちの姿から阪神頑張っているから、僕たちも頑張ろうというふうな姿を見せられると思う。僕も楽しみにしていますし、そういうシーズンにしていきます」
-全国の高校球児へメッセージを
「言いたいことはほんとにたくさんあって、え~ほんとに…う~ん(目を潤ませ、言葉が詰まる)。挑戦すらできないっていうのはほんとに悔しい思いをみんなしていると思いますし、保護者のみなさん、監督、みんなもどうやって背中を押してあげようかってことで思い悩まれていると思うんですけど……そうですね、え~みんな応援していますし、今回は野球というつながりでしたけど、そのつながりの中で僕たちもみんなのこと応援しています。たくさんの方が、みんなを応援しているんで、みんなもこの状況を乗り越えて。この年の選手たちっていうんですかね、すごいよなって、5年後、10年後言ってもらえるような、はい…時代になればいいなと思います」
-これから世の中に出て、次のステージへ踏み出していく彼らに
「まあ…(しばらく考え)、いろいろあるんだけど、受け止められない子もたくさんいると思う。甲子園に行きたい夢が強かった子ほど、そこに思いがあると、ぽっかり穴があくというか、苦しいような状況になるんで。無理にそれを切り替える必要もないし、なんというのかな、時間も必要。その時間の中で吐き出す時間っていうのも俺は必要だと思っていて。切り替えなアカン、切り替えなアカンっていうよりも、苦しいことを正直に話すことで次のステップに向かいやすいのかなって思う。チームなり、選手間同士でちょっと話し合って、苦しいことをみんなで出して、それを出した中でも『よしっ、でも俺ら頑張ろうや!』っていう一言を最後の最後につけてもらえれば、今の苦しい状況を出すだけ出して…分からないけど(100のうち)99出すだけ出して、最後の1を『でも前向いていこう』とかにしてもらえればいいんじゃないかなと思う」
◆甲子園の土 黒土は岡山県日本原、三重県鈴鹿市、鹿児島県鹿屋市、大分県豊後大野市三重町、鳥取県大山などの土をブレンドしている。これに京都府城陽市産の砂を加えるが、春は雨が多いため砂を多めに、夏は白いボールを見やすくするために黒土を多くするなど、季節によってその割合を変えている。



